第一種電気工事士試験 / 令和8年度上期 学科試験 / 問12
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令和8年度上期 学科試験 問12 解説 電熱器の熱量計算

電熱器により2リットルの水を加熱した とき温度が10℃上昇した。この電熱器が発生 した発熱量Q[kJ]は。 ただし、電熱器の熱効率は50%とする。

  1. イ. 40
  2. ロ. 56
  3. ハ. 84
  4. ニ. 168 ✓ 正答

解説

この問題は、水が受け取った熱量を計算し、それを電熱器の効率で割ることで、電熱器が全体で発生させた熱量を導き出します。

計算の手順は以下の通りです。

  1. 水2リットル(2kg)を10℃上昇させるのに必要な熱量を求める。
  2. その値を効率50%(0.5)で割り、電熱器が発生させた全エネルギーを算出する。

式にすると、Q=2×4.2×100.5=168Q = \frac{2 \times 4.2 \times 10}{0.5} = 168 kJ となります。

水の加熱に必要なエネルギーの計算

まず、水そのものを温めるためにどれだけのエネルギーが消費されたかを考えます。ここで重要になるのが「水の比熱」という概念です。

物質の温度を上げるために必要な熱量は、質量 ×\times 比熱 ×\times 温度変化で求められます。水の比熱は一般的に 4.24.2 kJ/(kg・K) とされています。これは「水1kgの温度を1℃上げるのに4.2kJのエネルギーが必要である」という意味です。

今回の条件では、水の体積が2リットルですので、質量 mm22 kg となります。温度変化 ΔT\Delta T1010 ℃です。したがって、水に伝わった熱量 QwaterQ_{water} は以下のようになります。 Qwater=2×4.2×10=84Q_{water} = 2 \times 4.2 \times 10 = 84 kJ

これが、実際に「水の温度上昇」に使われた正味のエネルギーです。

熱効率から全発生熱量を導く

次に、電熱器が発生させた全熱量 QQ を求めます。問題文には「熱効率は50%」という指定があります。

熱効率とは、発生させた全エネルギーのうち、目的の用途(今回は水の加熱)にどれだけ使われたかを示す割合です。 効率 η\eta = 水が受け取った熱量 / 電熱器が発生させた全熱量

この関係性を変形すると、電熱器が発生させた全熱量 QQ は以下の式で表せます。 Q=水が受け取った熱量ηQ = \frac{水が受け取った熱量}{\eta}

数値を代入すると、以下の通りです。 Q=840.5=168Q = \frac{84}{0.5} = 168 kJ

効率が50%ということは、発生させた熱量の半分が水に伝わり、残りの半分は周囲の空気への放熱や容器の加熱などで失われたことを意味します。したがって、水に伝わった84kJのちょうど2倍のエネルギーを電熱器が発生させていなければならない、という論理になります。

電気設備設計におけるエネルギー収支の視点

この問題の教育的意図は、単なる公式の暗記ではなく、電気エネルギーが熱エネルギーへ変換される際の「損失」を含めた全体像を把握することにあります。

第一種電気工事士が携わる工場やビル等の現場では、電気ボイラーや大型の電気ヒーターなどの設備を扱う機会があります。これらの設備を設計・選定する際、水に与えたい熱量だけで電源容量を決めてしまうと、効率による損失分を賄えず、目標の温度まで上がらなかったり時間がかかりすぎたりするトラブルにつながります。

また、電力量の単位である kWh と熱量の単位 kJ の換算(11 kWh = 36003600 kJ)も、実務では非常に重要です。電気の入力(kWやkWh)に対して、どれだけの熱出力(kJ)が得られるかというエネルギー収支の感覚を養うことが、現場でのトラブルシューティングや省エネ提案の基礎となります。

参考リンク

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