令和8年度上期 学科試験 問14 解説 防爆照明器具
写真に示す照明器具の主要な使用場所は。
- イ. 極低温となる環境の場所
- ロ. 物が接触し損壊するおそれのある場所
- ハ. 海岸付近の塩害の影響を受ける場所
- ニ. 可燃性のガスが滞留するおそれのある場所 ✓ 正答
解説
写真に写っている照明器具が防爆構造のものであると判断することが、この問題を解く最短の道筋です。器具の端にある球状の頑強な接合箱(ジャンクションボックス)や、発光部を保護するガラス前面パネルを固定する無数のボルトといった外見的特徴から、これが特殊な環境で使用される器具であることを読み取ります。
頑強な構造と多数のボルトが示す防爆のサイン
この照明器具の最大の特徴は、一般的な施設で使われる照明とは比較にならないほどの重厚な造りです。特に注目すべきは、電線を接続するボックス部分の厚みと、光源を覆う透明なカバーを固定しているボルトの多さです。
これは耐圧防爆構造と呼ばれる設計に特有のものです。万が一、器具の内部で電気火花が発生し、そこに侵入していた可燃性ガスが引火して内部爆発が起きても、その爆発の圧力に本体が耐え抜き、かつ外部の可燃性ガスに火炎が漏れ出さないように設計されています。
選択肢にある他の環境と比較してみましょう。 イの極低温環境であれば、材料の低温脆性や結露対策が主眼となります。 ロの衝撃が予想される場所では、金属ガード(網)がついたものが一般的です。 ハの塩害地域では、ステンレス製や特殊塗装が施されますが、これほどまでに重厚なボルト締め構造にはなりません。 したがって、この重厚さは内部爆発を封じ込めるためのもの、つまりニの可燃性ガスが滞留する場所が正解となります。
防爆構造の仕組みと可燃性ガスへの対策
防爆構造が必要とされる場所には、石油化学工場、ガソリンスタンド、塗装工場、薬品貯蔵庫などがあります。これらの場所では、空気中に可燃性のガスや蒸気が漂っている可能性があり、わずかな電気火花が大規模な爆発事故に直結します。
耐圧防爆構造の照明器具において、ガラス面を多くのボルトで固定しているのには重要な物理的理由があります。それは接合面の隙間(スキ)の管理です。
もし内部で爆発が起きた際、高温のガスが隙間から外へ漏れようとします。このとき、接合面の奥行きを十分に長くし、隙間を極限まで狭くしておくことで、ガスが外に出るまでに温度が下がり、外部のガスに引火する能力を失わせるという仕組みです。これを消炎遮断と呼びます。この精密な隙間を維持するために、強力なボルト締めが必要となるのです。
産業現場における安全確保の要
第一種電気工事士が携わる大規模な工場やプラントでは、こうした防爆工事の知識は必須です。この問題は、単に器具の名称を答えるだけでなく、現場の危険性を外見から察知する能力を問うています。
防爆エリアでは、器具そのものだけでなく、そこに配線する電線管との接続部にも防爆型のフィッティングを使用し、さらにシーリング(充填剤による封止)を行うことが義務付けられています。
こうした知識を身につけることは、単なる試験対策にとどまりません。施工不良が人命に関わる爆発事故を引き起こす可能性がある場所を見極め、適切な資材と工法を選択するための、プロとしての安全意識の第一歩と言えます。