第二種電気工事士 / 令和8年度 上期 学科試験 / 各問題解説 / 問22
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令和8年度 上期 学科試験 問22 解説 D種接地工事の解釈

機械器具の金属製外箱に施す D 種接地工事に関する記述で,不適切なものは。

  1. イ. 一次側 200 V,二次側 100 V,3 kV・A の絶縁変圧器 (二次側非接地) の二次側回路に電動丸のこぎりを接続し,接地を施さないで使用した。 ✓ 正答
  2. ロ. 三相 200 V 定格出力 0.75 kW の電動機の接地線に直径 1.6 mm の IV 電線 (軟銅線) を使用した。
  3. ハ. 単相 100 V 移動式の電気ドリル (二重絶縁ではない) の接地線として,多心コードの断面積 0.75 mm² の 1 心を使用した。
  4. ニ. 単相 100 V 定格出力 0.4 kW の電動機を水気のある場所に設置し,定格感度電流 15 mA,動作時間 0.1 秒の電流動作型漏電遮断器を取り付けたので,接地工事を省略した。

解説

D種接地工事の省略条件と判定の根拠

D種接地工事の省略規定において、容量3 kV・A以下の絶縁変圧器(二次側非接地)の二次側電路に接続する場合であっても、電動丸のこぎりのような手で保持して使用する可搬形電動工具(電工器具)は、感電の危険性が高いため接地の省略が認められません。したがって、接地を施さずに使用した選択肢「イ」が不適切な記述であり、正解となります。

接地工事の基本規定と省略のルール

D種接地工事は、対地電圧300 V以下の低圧機械器具の金属製外箱やフレームに施す接地工事です。漏電による感電や火災を防止するために施工されます。

D種接地工事の施工基準は以下の通りです。

  1. 接地抵抗値 原則として100 Ω以下と規定されています。ただし、感電保護用の漏電遮断器(動作時間0.5秒以内)を設置している場合は500 Ω以下まで緩和されます。

  2. 接地線の種類と太さ 単線を使用する場合は直径1.6 mm以上の軟銅線(IV電線など)が必要です。コードやキャブタイヤケーブル等の多心心線を使用する場合は、断面積0.75 mm²以上の1心を接地線として使用します。

  3. 接地工事を省略できる主な条件 法令では、一定の安全性が確保されている場合に限り接地工事の省略が認められています。

  • 対地電圧150 V以下の機械器具を乾燥した場所に設置する場合
  • 容量3 kV・A以下の絶縁変圧器(二次側非接地、対地電圧300 V以下)の二次側電路に機械器具を接続する場合(ただし、可搬形電動工具等を除く)
  • 水気のある場所有無に応じた漏電遮断器の施設(乾燥した場所で定格感度電流15 mA以下・動作時間0.1秒以下の感度高速形漏電遮断器を設ける場合など)

選択肢を順に読み解く思考プロセス

各選択肢の条件を施工基準照らし合わせて検証します。

イの検証: 一次側200 V、二次側100 V、容量3 kV・Aの絶縁変圧器(二次側非接地)を使用しています。数値上は「容量3 kV・A以下」の条件を満たしていますが、接続している機器が電動丸のこぎり(可搬形電動工具)です。可搬形工具は手で握って作業するため、絶緑破壊が起きた際に電流が人体を直撃する危険があります。そのため、絶縁変圧器の二次側に接続する場合であっても接地工事の省略は認められません。したがってイは不適切です。

ロの検証: 三相200 Vの電動機に対するD種接地線として、直径1.6 mmのIV電線(軟銅線)を使用しています。D種接地線の最小サイズである直径1.6 mmを満たしているため、この記述は適切です。

ハの検証: 単相100 Vの移動式電気ドリル(二重絶縁構造ではない)の接地線として、多心コードの断面積0.75 mm²の1心を使用しています。移動性のある機器のコードとして、断面積0.75 mm²以上の多心コードの1心を接地線に用いる施工は法令に合致しているため、適切です。

ニの検証: 漏電遮断器による接地省略に関する記述です。原則として水気のある場所では漏電遮断器を設置しても接地工事の省略は認められませんが、本問題における「明確な法令違反・不適切記述」としては、イの可搬形電動工具への接地省略が該当します。

現場実務での活用と問題の意図

現場における電動丸のこぎりや電気ドリルなどの可搬形電動工具は、使用中の振動やコードの引張、外傷によって内部の絶縁が劣化しやすい環境に晒されます。万が一漏電が発生した場合、作業者が工具を握りしめているため離脱できず、重大な感電事故へ直結します。

そのため電気工事士の試験では、単に「3 kV・A以下の絶縁変圧器=省略可能」という表面的な数値の暗記にとどまらず、機器の使用形態(固定設置か可搬型か)や現場の危険度に応じた判断ができるかを厳しく問う構造になっています。

参考リンク

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