令和8年度 上期 学科試験 問39 解説 電路と大地間の絶縁抵抗
⑨で示す部分の電路と大地間の絶縁抵抗として、 許容される最小値[MΩ]は。
- イ.0.1 ✓ 正答
- ロ.0.2
- ハ.0.4
- ニ.1.0
解説
単相3線式100/200Vの受電方式における屋内電路は、対地電圧が150V以下となります。電気設備技術基準により、対地電圧150V以下の低圧電路で許容される絶縁抵抗の最小値は0.1MΩ以上と定められているため、正解は イ です。
電路の対地電圧と絶縁抵抗値の法定基準
建物内の電気設備は、絶縁体が劣化して漏電が発生しないよう、一定以上の絶縁抵抗値を保つことが法律で義務付けられています。この判定基準は、電路の対地電圧の区分によって段階的に定められています。
低圧屋内電路における絶縁抵抗値の最小許容値は以下の通りです。
- 対地電圧が150V以下の場合:0.1MΩ以上
- 対地電圧が150Vを超え300V以下の場合:0.2MΩ以上
- 対地電圧が300Vを超える場合(主に三相3線式350V超や工業用等):0.4MΩ以上
対地電圧とは、電路と大地との間の電圧を指します。線間電圧(電線相互間の電圧)が200Vであっても、中性線が接地されている単相3線式では対地電圧が100Vとなるため、適用される基準は対地電圧150V以下の区分である0.1MΩ以上になります。
配線図からの対地電圧導出と判定のステップ
問39で提示されている回路の最小許容値を導き出すためには、図面から受電方式を読み取り、対地電圧を正しく判断する必要があります。
まず、図面下部の分電盤結線図および平面図上部の引き込み表示を確認します。そこには「1φ3W 100/200V」と記載されています。これは単相3線式100/200Vで給電されていることを意味します。
単相3線式では、変圧器の中性点が接地されています。そのため、100V回路(電圧線と中性線間)の対地電圧は100Vです。さらに、エアコン用などで使われる200V回路(電圧線と電圧線間)であっても、どちらの電圧線も接地された中性線との間の電圧は100Vとなるため、対地電圧は100Vとなります。
電路の対地電圧が100Vであることが判明したため、対地電圧150V以下の基準(0.1MΩ以上)を適用します。結果として、求める最小値は0.1MΩとなります。
実務における絶縁抵抗測定の意義と試験での意図
この知識は、電気工事が完了した後の竣工検査や、定期点検において絶縁抵抗計(メガー)を用いて電路の安全を確認する実務において必須となります。
絶縁抵抗値が低下すると、漏電による感電事故や火災の原因となります。特に住宅環境においては、水回りや屋外を含む多様な回路が存在するため、基準値を確実に把握し、合格基準を満たしているかを判定できなければなりません。
試験問題としてこの内容が頻出する理由は、単に数値の暗記を問うだけでなく、受電方式から対地電圧を正確に計算・推測できるかという構造的理解と、安全基準の遵守能力の両方を試すのに適しているためです。