平成21年度 秋期 ITパスポート試験 問53 解説 ITサービス構成管理
サービスサポートにおける構成管理の役割はどれか。
- ア あらかじめ定義された IT 資産の情報を管理する。 ✓ 正答
- イ インシデントの発生から解決までを管理する。
- ウ サービスサポートの要員を管理する。
- エ 変更が承認されたシステムに関する変更を実際に行い,記録する。
解説
構成管理は「何があるか」を把握するプロセス
この問題は、ITIL(ITサービスマネジメントのベストプラクティス集)における「構成管理」の定義を問う問題です。構成管理のキーワードは「IT資産(構成アイテム)の情報を正確に記録・管理すること」です。したがって、資産の情報を管理するという記述がある「ア」が正解となります。
ITサービスマネジメントにおける役割の住み分け
ITサービスサポートの各プロセスには明確な役割分担があります。選択肢にある他のプロセスの役割と対比することで、構成管理の輪郭がはっきりと見えてきます。
インシデント管理(選択肢イ) 利用者が直面しているサービスの中断や品質低下(インシデント)に対し、可能な限り迅速にサービスを復旧させるプロセスです。
変更管理(選択肢エ) システムやサービスに変更を加える際、そのリスクを評価し、承認プロセスを経て実行を制御する活動です。実際に作業を行うのは「変更実施」の工程ですが、変更管理というプロセス自体は「計画通りに安全に進んでいるか」を管理する役割を担います。
構成管理(選択肢ア) ITサービスを形作っている機器、ソフトウェア、ドキュメントなどの「構成アイテム(CI)」の情報を一元的に管理するデータベース(CMDB:構成管理データベース)を構築・維持するプロセスです。他のプロセスが正しく機能するための「基盤情報」を提供するのが構成管理の役割です。
構成管理の思考プロセス
試験問題で「構成管理」という言葉が出たときには、以下の思考ステップをたどってください。
- ITILの文脈であるかを確認する。
- 構成アイテム(CI)というキーワードを連想する。
- 構成管理が「動的な対応(トラブル対応や作業実施)」ではなく、「静的な管理(状態の記録と維持)」を目的としていることを思い出す。
- 選択肢の中で「情報を把握する」「記録する」「維持する」といったニュアンスのものを選ぶ。
このプロセスを経ることで、他の似たようなITサービス管理用語に惑わされず、正解を導き出すことができます。
実務における構成管理の重要性
なぜIT資産の情報を管理することが重要なのでしょうか。たとえば、あるサーバーに障害が発生したとき、「このサーバーがどの業務を支えているのか」「どのネットワーク機器に接続されているのか」がわからなければ、影響範囲を特定できません。
また、システムに変更を加える際も、構成情報が古ければ、予期せぬ場所で障害を引き起こす可能性があります。構成管理は、大規模なシステムを運用する現場において、迷子にならないための「地図」や「台帳」としての役割を果たしています。試験対策としてだけでなく、IT現場でトラブルの波及を防ぐための不可欠な守りのプロセスとして理解しておくと、実務にも役立つ知識となります。