平成21年度 秋期 ITパスポート試験 問59 解説 仮想記憶方式の目的
OSの機能の一つである仮想記憶方式の目的はどれか。
- ア OSが使用している主記憶の領域などに,アプリケーションプログラムがアクセスすることを防止する。
- イ 主記憶の情報をハードディスクに書き出してから電力供給を停止することで,作業休止中の電力消費を少なくする。
- ウ 主記憶の容量よりも大きなメモリを必要とするプログラムも実行できるようにする。 ✓ 正答
- エ 主記憶よりもアクセスが高速なメモリを介在させることによって,CPUの処理を高速化する。
解説
仮想記憶方式という用語から機能を見抜く
この問題は「仮想記憶」という言葉が持つ、もっとも基本的な役割を知っているかどうかを問うものです。仮想記憶の「仮想」とは、「物理的には存在しないが、あるかのように見せる」という意味です。つまり、実際の物理メモリ(主記憶)の容量を超えて、コンピュータに広い作業領域があるかのように錯覚させる技術を指します。選択肢の中から「容量不足を解消する」という目的を探すことで、正解のウにたどり着くことができます。
主記憶と補助記憶の役割分担を理解する
コンピュータのメモリ(主記憶装置)は非常に高速ですが、物理的なチップを載せるスペースには限界があり、容量を無限に増やすことはできません。一方で、ハードディスクやSSDなどの補助記憶装置は、容量は大きいものの、メモリと比較するとデータの読み書き速度が遅いという特性があります。
仮想記憶方式は、この両者のいいとこ取りをする仕組みです。具体的には、現在実行中のプログラムのうち、今まさに必要としている部分だけを主記憶に置き、残りの「今は使っていない部分」を補助記憶装置(スワップ領域)に退避させておきます。これにより、物理メモリの容量がたとえば8GBしかなくても、16GBや32GBのメモリを要求するような巨大なアプリケーションを動作させることが可能になります。
選択肢の検討と誤りのパターン
この問題は、OSのメモリ管理機能に関する用語の定義を整理することで解くことができます。
アは「メモリ保護」という機能の説明です。アプリケーションが他人の領域を汚さないように制限する機能であり、仮想記憶とは別の目的です。
イは「休止状態(ハイバネーション)」の説明です。主記憶の内容をそのまま補助記憶に書き出して電源を切る仕組みですが、これも仮想記憶とは目的が異なります。
エは「キャッシュメモリ」の説明です。主記憶よりも高速なメモリ(SRAMなど)をCPUと主記憶の間に配置し、CPUの処理を待たせないようにする仕組みです。これは速度向上が目的であり、仮想記憶の目的とは異なります。
システム運用の現場における視点
私たちが普段使っているPCやスマートフォンで、重い動画編集ソフトや多数のブラウザタブを同時に開けるのは、この仮想記憶の恩恵です。もし仮想記憶がなければ、主記憶の容量を超えた瞬間にプログラムは強制終了してしまいます。
ITパスポートの試験としては、仮想記憶=「主記憶の容量不足を補う」「大きなプログラムを動かす」というキーワードをセットで覚えておくのが最も効率的です。また、これに関連して、メモリの一部を補助記憶に追い出す「スワップ」という用語も併せて覚えておくと、実務や上位試験の学習でも役立ちます。