平成21年度 秋期 ITパスポート試験 問86 解説 デュアルシステム
デュアルシステムに関する記述として,適切なものはどれか。
- ア 1台のコンピュータに複数のマイクロプロセッサを搭載し,並列処理ができるシステムのことである。
- イ 2系統のコンピュータが,互いの処理結果を照合しながら同一処理を行うシステムのことである。 ✓ 正答
- ウ 障害時に,予備のコンピュータに切り替えて処理を継続するシステムのことである。
- エ 複数のコンピュータを直列に接続して,機能を分担するシステムのことである。
解説
デュアルシステムは、言葉の響きから「2つあること」が特徴です。試験で見分けるポイントは、「2つのシステムが何を・どう行っているか」という点です。選択肢の中で「2系統が同時に同じことをして、結果を突き合わせる」という記述を探すのが最短の解き方です。
信頼性を高めるための仕組み
デュアルシステムとは、2組のシステムを並べて同じ処理を実行させ、その結果を照合する方式です。もし処理結果が一致しなければ、どちらかのシステムに異常が発生したと判断して処理を停止したり、アラートを出したりします。
この方式の最大の目的は、高い信頼性の確保です。銀行のオンラインシステムや、極めて高い正確性が求められる航空管制システムのように、単に止まらないことよりも「計算結果の正しさ」を最優先したい場面で採用されます。
混同しやすい用語との違い
ITパスポート試験では、似たような仕組みがいくつか登場します。これらは「目的」と「動き」で整理しましょう。
障害時に切り替えて継続するシステムはデュプレックスシステムです。こちらは「現用系」と「待機系」に分かれており、普段は待機系は仕事をせず、障害が起きたときだけ切り替わります。デュアルシステムが「ダブルチェック」をするための仕組みであるのに対し、デュプレックスシステムは「予備を持つ」ための仕組みです。
また、1台の中にCPUが複数あるのはマルチプロセッサシステムで、これは処理能力を向上させることが目的です。直列に接続してパイプライン的に処理を流すのはタンデムシステムと呼びます。
なぜこの知識が問われるのか
IT現場において、システム構成を検討する際には「どのような障害が起こりうるか」「どこまで停止が許されるか」「データの正確性はどの程度必要か」という要件定義が必ず発生します。
システムを二重化すればコストは2倍になります。しかし、そのコストをかけてでも「照合による信頼性」を担保すべきなのか、それとも「切り替えによる継続性」を優先すべきなのか。この問題は、エンジニアが設計時に行う「コストと信頼性のトレードオフ」という思考そのものを問うています。用語の丸暗記だけでなく、なぜその仕組みが存在するのかという背景を考えることで、システム構成図を見たときに「このシステムはどういう目的で二重化されているのか」を瞬時に読み解く力が身につきます。