平成21年度 春期 ITパスポート試験 問61 解説 システムの稼働率と信頼性
問61 あるシステムは 5,000 時間の運用において, 故障回数は 20 回, 合計故障時間は 2,000 時間であった。おおよその MTBF, MTTR, 稼働率の組合せのうち, 適切なもの はどれか。
- ア.
- イ.
- ウ.
- エ. ✓ 正答
解説
この問題は、システムの信頼性を評価する3つの指標(MTBF、MTTR、稼働率)を計算で導き出す問題です。以下の手順で計算します。
- MTTR(平均修復時間)= 合計故障時間 ÷ 故障回数 = 時間
- MTBF(平均故障間隔)= (運用時間 - 合計故障時間) ÷ 故障回数 = 時間
- 稼働率 = MTBF ÷ (MTBF + MTTR) = (つまり 60%)
これらの計算結果から、正解は選択肢エとなります。
信頼性評価の重要指標
システム開発や運用において、システムが「どれだけ安定して動いているか」を数値化することは非常に重要です。ITパスポート試験で頻出する以下の用語は、セットで覚えておくのが鉄則です。
MTBF (Mean Time Between Failures:平均故障間隔) システムが故障してから、次に故障するまでの平均時間です。この値が大きいほど、システムは故障しにくい(信頼性が高い)ことを示します。今回の計算では、全稼働時間(故障中を除いた時間)を故障回数で割ることで算出しました。
MTTR (Mean Time To Repair:平均修復時間) システムが故障してから修理が完了するまでの平均時間です。この値が小さいほど、故障してもすぐに復旧できる(保守性が高い)ことを示します。
稼働率 システムが稼働している時間の割合です。全期間のうち、どれだけ正常にサービスを提供できていたかを示します。
計算問題を解くための思考手順
この種の問題を解くときは、まず「何が分かっていて、何を求めるべきか」を整理します。
今回の問題文には「運用時間(5,000時間)」「故障回数(20回)」「合計故障時間(2,000時間)」が与えられています。MTTRを求めるには「故障した時間」という具体的な数値がすでに手元にあるため、まずはMTTRを算出するのが近道です。
次にMTBFを求めますが、ここで「運用時間には故障している時間も含まれている」という点に注意してください。純粋に動いている時間は「5,000 - 2,000 = 3,000時間」です。これを20回に分けるため、150時間という間隔が導き出されます。最後に、稼働率の公式に当てはめれば迷うことはありません。
現場で役立つ信頼性の考え方
これらの指標は、実際のシステム運用の現場で「サービスレベル合意書(SLA)」を策定する際に非常に重要な役割を果たします。
例えば、クラウドサービスを利用する場合、プロバイダは「稼働率99.99%」といった目標を掲げます。もし万が一システムがダウンした際、MTTRが極端に長ければ、ユーザーへの影響や損害は拡大してしまいます。そのため、システム管理者は単にMTBFを大きくする(壊れないようにする)だけでなく、いかに迅速に復旧させるか(MTTRを小さくする)という観点での設計も求められます。
試験対策としては、単に公式を丸暗記するだけでなく、「システムが動いている時間」と「直している時間」のどちらを分子・分母に置いているのか、という構造をイメージできるようになると、応用問題にも強くなれます。