平成21年度 春期 ITパスポート試験 問65 解説 フェールセーフ
問65 フェールセーフの説明として,適切なものはどれか。
- ア 故障や操作ミスが発生しても,安全が保てるようにしておく。 ✓ 正答
- イ 障害が発生した際に,正常な部分だけを動作させ,全体に支障を来さないようにする。
- ウ 組織内のコンピュータネットワークに外部から侵入されるのを防ぐ。
- エ 特定の条件に合致するデータだけをシステムに受け入れる。
解説
フェールセーフの判断ポイント
この問題は、システムの「安全性」を重視した設計思想を問うものです。キーワードの「セーフ(Safe=安全)」に注目し、故障やミスが起きても被害を最小限に抑え、安全な状態へ誘導する選択肢を探すのが正解への最短ルートです。
故障しても安全を守る考え方
フェールセーフ(Fail-safe)とは、システムの一部が故障したり、利用者が誤った操作をしたりした際に、そのまま動作を継続させて危険を招くのではなく、あえて安全な状態に停止させたり、安全なモードに切り替えたりする設計のことです。
例えば、信号機が故障した際に「全ての灯火を消す」のではなく「赤色を点滅させる(あるいは赤信号を固定する)」ように設計されていれば、事故を防ぐことができます。このように、何らかのトラブルが発生したときに「安全(Safe)」側に倒すという考え方がフェールセーフの本質です。
混同しやすい用語との違い
試験では、よく似たシステム設計の概念と混同させようとする問題が頻出します。以下の用語と比較することで、知識の境界線を明確にしましょう。
・フェールソフト(Fail-soft) 故障した際に、システム全体を止めるのではなく、機能を一部制限してでも稼働を継続させる考え方です。「ソフト(柔らかな)対応」と覚えるとイメージしやすいでしょう。
・フォールトトレラント(Fault-tolerant) 故障しても正常に稼働し続けられるよう、最初から予備の機器を準備したり、多重化したりする考え方です。「トレラント(寛容)」という名の通り、故障があっても許容して止まらないようにする設計です。
・フールプルーフ(Fool-proof) そもそも利用者が誤った操作をできないように設計する考え方です。例えば「カバーを開けている間は電源が入らない」「間違った順序ではボタンが押せない」などが該当します。
実社会での活用場面
フェールセーフの考え方は、私たちの身の回りのあらゆる場面で人命や資産を守るために導入されています。
例えば、家庭の石油ストーブです。地震などで本体が大きく傾いたり倒れたりした際に、自動的に火を消す機能は代表的なフェールセーフです。もしストーブが「傾いてもそのまま燃え続ける」仕様であれば、火災という重大な危険を招きます。また、IT分野であれば、サーバーの異常検知時にサービスを遮断して不正アクセスや誤作動の連鎖を防ぐ仕組みもこれにあたります。
システム開発においては、単に「止まらないこと」を目指すだけでなく、「いざという時に、どうなれば最も安全か」をあらかじめ設計段階から組み込んでおくことが、エンジニアにとって非常に重要な役割となります。