平成22年度 秋期 ITパスポート試験 問60 解説 IPv6の特徴
インターネットでは,通信プロトコルとして使用されてきた IPv4 以外にも IPv6 が 使用され始めている。IPv6 の説明のうち,適切なものはどれか。
- ア IPv4 のネットワークとは共存できないので,独立したネットワークとして構築する必要がある。
- イ IP アドレスのビット長が IPv4 の 4 倍あり,心配されていた IP アドレスの枯渇が回避できる。 ✓ 正答
- ウ IP アドレスは数値ではなく,ホスト名とドメイン名による文字列で構成されている。
- エ 暗号通信の機能はなく,暗号化と復号は上位層のプロトコルで行われる。
解説
IPv4とIPv6の違いを整理し、IPアドレスの長さ(ビット数)に着目することで正解を導き出します。IPv4が32ビットであるのに対し、IPv6は128ビットであり、この「4倍」という数字が、アドレス枯渇問題を解決するための鍵であることを押さえておけば即答できる問題です。
IPアドレスの役割と枯渇問題
インターネットに接続されたコンピュータやスマートフォンなどの各機器には、郵便の住所にあたる「IPアドレス」が割り当てられています。かつての主流であったIPv4は32ビットで構成されており、表現できるアドレスの数は約43億個でした。しかし、インターネットの爆発的な普及により、世界中でIPアドレスが不足する「枯渇問題」が深刻化しました。
そこで登場したのがIPv6です。IPv6ではIPアドレスを128ビットへと拡張しました。32ビットの4倍である128ビットにすることで、アドレスの数は約340澗(かん=10の36乗)という、事実上無限とも言える膨大な数になりました。これにより、世界中のあらゆる機器にIPアドレスを割り当てることが可能になったのです。
消去法による選択肢の検討
この問題は、他の選択肢がなぜ誤りなのかを理解することで、より確実な知識として定着します。
アの選択肢にあるIPv4との共存については、現代のネットワーク技術では「デュアルスタック」という、1台の機器がIPv4とIPv6の両方に対応する仕組みや、IPv6パケットをIPv4ネットワークの中に通す「トンネリング」などの技術によって、両者は共存して運用されています。したがって「独立したネットワークとして構築する必要がある」という記述は誤りです。
ウのIPアドレスの形式については、IPアドレスは数値(または16進数表記)で表されるものであり、人間が覚えやすいように付けられた名前であるホスト名やドメイン名とは別の概念です。これらを結びつけるのがDNS(ドメインネームシステム)の役割です。
エの暗号通信については、IPv6は設計段階からセキュリティ機能であるIPsec(IP Security)を標準で利用することが想定されています。IPv4でもIPsecを利用することは可能ですが、IPv6ではより統合された形で提供されるのが特徴です。そのため「機能はない」という記述は誤りです。
ネットワーク設計における意味合い
試験でこの知識を問う意図は、単なる暗記確認にとどまりません。ITエンジニアとして、現在のインターネット環境が新旧両方のプロトコルが混在する「移行期」にあるという実務的な現実を理解しているか、という点が重要です。
システム導入やネットワーク設計を行う際、IPv6への対応は避けて通れない課題です。例えば、社内のネットワーク機器を入れ替える際、その機器が「IPv6に対応しているか」を確認することは、将来的にアドレス枯渇やIoTデバイスの増加に対応するために不可欠な判断基準となります。試験を通じて、インターネットの基盤技術がどのように進化し、現在のネットワークを支えているのかを把握することが、合格への近道となります。