平成22年度 春期 ITパスポート試験 問43 解説 UPSの役割
業務用サーバの停電対策として導入予定の自家発電設備は,停電を感知してから安 定した電源供給が得られるまでに1分かかる。その1分間のサーバ用電源を確保する ために必要な装置はどれか。
- ア A/D コンバータ
- イ RAID
- ウ UPS ✓ 正答
- エ ファイアウォール
解説
停電発生から自家発電装置が動き出すまでの「隙間時間」を埋めるという役割に着目します。この役割を担うのは無停電電源装置(UPS)であるため、選択肢ウが正解です。
UPS(無停電電源装置)の役割
UPSは、Uninterruptible Power Supplyの略称です。停電や電圧低下などの異常が発生した際、内蔵しているバッテリーから即座に電力を供給し、コンピュータなどの精密機器をシャットダウンすることなく稼働し続けさせるための装置です。
今回の問題のように、自家発電設備のような大規模なバックアップ電源は、起動して安定するまでに時間がかかります。その間の数秒から数分という「電源が途切れる瞬間」を補い、システムが停止や故障を起こすリスクを回避するのがUPSの主な役割です。
思考のステップ
- 問題文にある「停電を感知してから安定供給までに1分かかる」という制約に注目します。この1分間がシステムにとっての「盲点」です。
- 選択肢を順に吟味します。
- A/Dコンバータはアナログ信号をデジタル信号に変換する装置であり、電源とは無関係です。
- RAIDは複数のHDDを組み合わせて信頼性や速度を向上させる技術であり、電源供給の装置ではありません。
- ファイアウォールはネットワークのセキュリティを高めるための仕組みであり、電源とは無関係です。
- 唯一、電源に関わる用語である「UPS」が、バッテリーによって停電をカバーする装置であることを特定します。
実務現場における可用性の確保
この問題は、システムの可用性をいかに維持するかという「ビジネス継続性」の観点を問うています。ITインフラの設計において、電源はすべての土台です。いくら高度なソフトウェアや強固なセキュリティを導入していても、電源が落ちればすべての機能は停止してしまいます。
現実のデータセンターやオフィスでは、以下のように階層的な電源対策をとることが一般的です。
- 通常時:電力会社からの商用電源で稼働。
- 停電直後:UPSが即座に切り替わり、数分間のバッテリー給電でサーバを維持。
- 停電継続時:UPSが稼働している間に自家発電設備が起動し、長時間の給電に切り替わる。
このように、複数の設備を組み合わせることで、万が一の災害や事故が発生しても業務を中断させない「冗長化」の考え方が、情報システム設計の基本となっています。