平成24年度 秋期 ITパスポート試験 問21 解説 企業の組織形態
図21 によって表される企業の組織形態はどれか。
- ア 事業部別組織 ✓ 正答
- イ 職能別組織
- ウ プロジェクト組織
- エ マトリックス組織
解説
この問題の正解は「ア 事業部別組織」です。組織図をひと目見て、共通の機能(研究開発・販売・生産など)が「製品やサービスごとの塊」の中にそれぞれ重複して存在していることを確認できれば、それが事業部別組織であると即座に判断できます。
組織形態を見分ける着眼点
組織図の問題では、図の中の「階層の分け方」に注目してください。
今回の図では、社長のすぐ下に「総務・人事」や「経理・財務」といった全社共通の管理部門があり、その横に「A事業担当」「B事業担当」という並びがあります。それぞれの事業担当の下には、自前の「研究開発」「販売」「生産」部門が完備されています。
このように、事業単位で独立して利益責任を負う形態をとるのが事業部別組織です。対照的に、職能別組織であれば、全社でひとつの「研究開発部」があり、その下にすべての製品の研究開発が集約されるはずです。まずは図の中で「同じ機能が複数の箇所に分かれているか?」を確認することが、組織形態を正しく分類する第一歩となります。
代表的な組織形態の特徴
ITパスポート試験で頻出する組織形態の代表的な特徴を整理します。
職能別組織 組織を「営業」「開発」「製造」といった業務の専門性(機能)ごとに分ける形態です。専門性が高まりやすく効率的ですが、部門間の壁が生じやすく、企業が巨大化すると連携が難しくなるという課題があります。
事業部別組織 今回の問題の対象です。製品や地域、顧客などの単位で事業部を作り、それぞれが小さな会社のように「自律的な経営」を行います。迅速な意思決定ができる反面、部門間で重複する機能(事務や人事など)が出てくるため、コストの無駄が生じやすいという側面があります。
プロジェクト組織 特定の課題や目的を達成するために、各部門から専門家を集めて編成される期間限定の組織です。目的達成後は解散します。
マトリックス組織 職能別組織と事業部別組織を掛け合わせた形です。従業員は、職能部門のボスと、プロジェクトや事業部のボスの二重の指揮命令系統下に置かれます。高度な調整能力が必要とされますが、柔軟で多機能な組織運営が可能です。
組織図が示す経営戦略の背景
この問題の教育的な意図は、組織図をただの「箱の並び」ではなく「企業の意思決定の仕組み」として捉える力を養うことにあります。
なぜ企業は事業部別組織を採用するのでしょうか。それは、製品ラインナップが増え、市場ごとの変化が激しくなったとき、ひとつの大きな組織で全製品を統括すると意思決定が遅れてしまうからです。A事業部が競合他社に対抗するために即座に新製品を出す必要があるとき、職能別組織であれば他部門の許可や調整に多くの時間がかかります。しかし、事業部別組織であれば、事業部長の権限でスピーディーに動くことができます。
このように、企業の組織図は、その企業がどのような戦略で市場と戦おうとしているかを反映しています。エンジニアやマネジメント層を目指す場合、自分の所属する組織がどのような強みと弱みを持っているかを知ることは、自身の働き方を最適化するための重要なビジネススキルとなります。