平成25年度 秋期 ITパスポート試験 問8 解説 MOTの定義
技術を理解している者が企業経営について学び,技術革新をビジネスに結びつけ ようとする考え方はどれか。
- JIT
- MOT ✓ 正答
- OJT
- TQM
解説
この問題は、キーワードの「技術(Technology)」と「経営(Management)」を組み合わせることで即座に正解を導くことができます。技術をビジネスに活用する経営手法を指す用語を探すと、各単語の頭文字をとったMOTが選べます。
技術と経営の融合としてのMOT
MOT(Management of Technology:技術経営)とは、保有する技術を核として、企業の利益を生み出し、競争力を高めるための経営手法のことです。
単に素晴らしい技術を開発することだけが目的ではありません。「その技術がどのような市場ニーズを満たすか」「どうすればコストを抑えて製品化できるか」「特許を取得して模倣を防ぐべきか」といった、技術的な視点と経営的な視点の両面から戦略を立てる活動全般を指します。
他の選択肢が示す概念
なぜMOT以外の選択肢が不適切なのか、それぞれの用語の役割を知ることで消去法による判断がより確実になります。
JIT(Just In Time) 製造業において、必要なものを、必要なときに、必要な分だけ作る生産方式です。在庫を最小限に抑えることで効率化を図る手法であり、技術と経営を結びつけるMOTとは領域が異なります。
OJT(On-the-Job Training) 実際の職務を通じて上司や先輩が部下を教育する訓練方法です。人材育成のフレームワークであり、ビジネス戦略全般を指すものではありません。
TQM(Total Quality Management) 製品やサービスの品質を継続的に改善し、顧客満足度を向上させるための全社的な品質管理活動です。品質向上に焦点を当てており、技術のビジネス化そのものを定義する言葉とは異なります。
技術革新をビジネスに変える力の重要性
この問題は、現代のIT業界や製造業において、単なる「エンジニア」や「経営者」という分業が通用しにくくなっている背景を反映しています。
どれほど優れたプログラミングスキルや技術力を持っていても、それを市場に届く形(商品やサービス)に変換する戦略がなければ、企業としての利益にはつながりません。一方で、経営戦略ばかりに目を向け、現場の技術的な制約や可能性を無視すれば、実現性のない絵に描いた餅になってしまいます。
ITパスポート試験でこの知識を問う意図は、受験生に対して「技術をツールとして捉え、ビジネス価値を最大化する視点を持ってほしい」というメッセージにあります。今後、DX(デジタルトランスフォーメーション)を推進する役割を担う際や、新規事業を立案する際には、このMOTの視点が不可欠となります。