平成25年度 秋期 ITパスポート試験 問39 解説 プロジェクト統合管理
プロジェクトマネジメントの活動には,プロジェクト・コスト・マネジメント, プロジェクト・スコープ・マネジメント,プロジェクト・タイム・マネジメント, プロジェクト統合マネジメントなどがある。プロジェクト統合マネジメントで実施 する内容として,適切なものはどれか。
- ア プロジェクトのスケジュールを作成し,進捗状況や変更要求に応じてスケジュールの調整を行う。
- イ プロジェクトの成功のために必要な作業を,過不足なく洗い出す。
- ウ プロジェクトの立上げ,計画,実行,終結などのライフサイクルの中で,変更要求に対してコスト・期間の調整を行う。 ✓ 正答
- エ プロジェクトの当初の予算と進捗状況から,費用が予算内に収まるように管理を行う。
解説
選択の判断根拠
プロジェクト統合マネジメントは、プロジェクトの各プロセス間や、異なるマネジメント領域間(スコープ・コスト・時間など)の「整合性をとる(統合する)」役割を担います。そのため、特定の項目(スケジュールだけ、コストだけなど)を管理するのではなく、全体最適の観点から変更の影響を評価・調整する記述を探すのが正解への最短ルートです。
プロジェクト統合マネジメントの役割
プロジェクトマネジメント知識体系(PMBOK)において、プロジェクト統合マネジメントは、プロジェクト全体を統合して舵取りする司令塔のような位置づけです。
プロジェクトは、計画通りに進むことばかりではありません。例えば、顧客から「機能を追加してほしい(スコープの変更)」という要求があったとします。その際、以下の調整が必要です。
・機能が増えるので、作業時間(タイム)が延びる可能性がある。 ・作業が増えるので、人員や機材などの費用(コスト)が追加で必要になる。
このように、一つの変更要求が他の領域に連鎖的な影響を及ぼします。統合マネジメントは、これらの各領域をバラバラに管理するのではなく、プロジェクト全体の目標を達成するために全体最適化の判断を下すプロセスを指します。
選択肢の分析と消去法
本問の選択肢は、それぞれプロジェクトマネジメントの特定の領域に対応しています。
ア:プロジェクト・タイム・マネジメント(スケジュール管理)に関する内容です。 イ:プロジェクト・スコープ・マネジメント(作業範囲の確定)に関する内容です。「過不足なく」というキーワードはスコープの定義において非常に重要です。 ウ:プロジェクト統合マネジメントの内容です。変更がプロジェクト全体(コスト・期間)に与える影響を調整する点が、統合の役割そのものです。 エ:プロジェクト・コスト・マネジメント(費用管理)に関する内容です。予算と実績を比較し、コスト超過を防ぐ活動です。
このように、個別のマネジメント領域の定義を把握しておくことで、消去法でも確実に正解を導くことができます。
実務現場における全体最適の重要性
試験問題としては各領域が独立しているように見えますが、現場ではこれらは密接に絡み合っています。例えば、プロジェクトの開始直後に「コスト削減」を命じられた場合、統合マネジメントの視点では「では品質を落とすのか(スコープの縮小か)」「期間を短縮して人件費を削るのか(タイムの変更か)」といったトレードオフ(あちらを立てればこちらが立たない関係)を検討します。
プロジェクトマネージャーにとって最も重要なのは、各担当者が自分の領域で最適化を図るだけでなく、プロジェクト全体として成功するように情報の橋渡しを行い、意思決定を行うことです。この概念を理解しておくと、ITパスポートの出題意図である「プロジェクトマネジメントの流れ(立上げから終結まで)」という大きな枠組みをイメージしやすくなります。