平成25年度 春期 ITパスポート試験 公開問題 問22 解説 事業部制組織
事業部制組織を説明したものはどれか。
- ア 構成員が,自己の専門とする職能部門と特定の事業を遂行する部門の両方に所属する組織である。
- イ 購買・生産・販売・財務などの仕事の性質によって,部門を編成した組織である。
- ウ 特定の課題のもとに各部門から専門家を集めて編成し,期間と目標を定めて活動する一時的かつ柔軟な組織である。
- エ 利益責任と業務遂行に必要な職能を,製品別,顧客別又は地域別にもつことによって,自己完結的な経営活動が展開できる組織である。 ✓ 正答
解説
事業部制組織というキーワードが来たら、「利益責任」「自己完結」という言葉を探してください。これらがあれば迷わず正解を選べます。他の選択肢は組織図の別のパターンを説明しているため、それらとの違いを明確にしておくことが合格への近道です。
事業部制組織の正体
事業部制組織とは、製品別、顧客別、あるいは地域別に事業部を設け、各事業部がひとつの会社のような役割を果たす組織形態のことです。
この形態の最大の特徴は、各事業部の中に、購買、製造、販売、財務といった業務遂行に必要な機能(職能)がすべて揃っていることです。これにより、各事業部が独立して経営判断を行うことができ、どこで利益が上がっているのか、あるいは損失が出ているのかを明確に管理できます。これを「利益責任単位」と呼びます。
組織図のパターンの見分け方
ITパスポート試験では、組織の種類を問う問題が頻出します。選択肢の内容を整理すると、それぞれの組織の特徴がはっきりと見えてきます。
アの「職能部門と特定の事業部門の両方に所属する」のは、マトリックス組織です。複数の上司を持つことが特徴で、専門性と事業展開のスピードを両立させようとする形態です。
イの「仕事の性質(購買・生産・販売など)によって分ける」のは、職能別組織です。似た仕事をする人たちが集まるため効率が良い反面、部門間の連携が弱くなりやすいという特徴があります。
ウの「期間限定で専門家を集める」のは、プロジェクト組織です。特定の課題を素早く解決するために、通常の組織の枠組みを超えて編成される一時的なチームです。
エの「製品別、顧客別、地域別」というキーワードが出てきたら、迷わず事業部制組織を選んでください。
ビジネス現場における組織形態の意義
実際の企業運営において、組織形態は戦略と深く結びついています。
創業間もない企業や小規模な企業では、全員の顔が見える職能別組織が適しています。しかし、事業が多角化し、規模が大きくなると、社長一人ですべてを管理することは不可能になります。ここで登場するのが事業部制です。
事業部制にすることで、各事業部の長は自分の担当する製品や地域の業績に対して全責任を負うことになります。これにより、経営陣は各事業部のパフォーマンスを数字で評価しやすくなり、迅速な投資判断が可能になります。一方で、各事業部で機能が重複してしまうため、コストが余分にかかるというデメリットもあります。
試験問題としては、単に暗記するだけでなく「なぜその組織形態を取るのか?」という背景をイメージすることで、他の組織論に関する問題にも応用できるようになります。