平成25年度 春期 ITパスポート試験 公開問題 問59 解説 シンクライアント
クライアントサーバシステムにおいて,クライアント側には必要最低限の機能しかもたせず,サーバ側でアプリケーションソフトウェアやデータを集中管理するシステムはどれか。
- シンクライアントシステム ✓ 正答
- 対話型処理システム
- バッチ処理システム
- ピアツーピアシステム
解説
選択のポイント
問題文中の「クライアント側には必要最低限の機能」「サーバ側で集中管理」というキーワードが、そのままシンクライアントの定義と一致します。選択肢を消去法で絞り込むなら、他のシステムとの対比(特に処理の分散先がどこにあるか)を明確にするのが確実です。
シンクライアントの正体
シンクライアント(Thin Client)の「シン(Thin)」は「薄い、わずかな」という意味です。クライアント側のパソコンには、ハードディスクや多くのアプリケーションを搭載せず、最低限の入力と表示機能だけを持たせる仕組みを指します。
対照的な存在として「ファットクライアント(Fat Client)」があります。こちらは一般的なパソコンのように、アプリケーションやデータを端末側に保存・処理する仕組みです。
今回の設問で挙げられている他の選択肢は、シンクライアントとは以下のような点で明確に異なります。
対話型処理システムは、ユーザの入力に対してコンピュータが即座に応答する処理形態全般を指します。 バッチ処理システムは、ある程度のデータをまとめて一括で処理する仕組みです。 ピアツーピアシステムは、サーバを介さずクライアント同士が対等に通信する形態(例:ファイル共有ソフトなど)を指します。
問題の背景にあるセキュリティと運用管理
この知識が重要視される最大の理由は、セキュリティ向上と運用コスト削減にあります。
端末側にデータを保存しないシンクライアントシステムでは、万が一端末が盗難や紛失にあっても、端末内に重要なデータが存在しないため情報漏えいのリスクを大幅に低減できます。また、アプリケーションの更新やパッチの適用もサーバ側で一括管理できるため、個々の端末を個別にメンテナンスする必要がなく、管理者の負担が激減します。
しかし、すべての処理をサーバ側で行うため、サーバに障害が発生すると全端末が利用不能になるというリスクや、ネットワークの通信負荷が高まるといったデメリットも存在します。実務では、この「利便性」「コスト」「セキュリティ」「リスク許容度」のバランスを考慮して導入が決定されます。
ITパスポートの試験では、技術的な定義を問うだけでなく、「なぜその仕組みが必要なのか」という目的を問う傾向があります。「管理の集中」と「漏えいリスクの低減」が、シンクライアントの最大のメリットであるというセットで覚えておくと、試験本番で迷うことがなくなります。