平成25年度 春期 ITパスポート試験 公開問題 問73 解説 RAIDの記録方式
同じ容量の2台のハードディスクを使う記録方式を考える。2台をストライピングする方式と比較して,ミラーリングする方式では,記録できる情報量は何倍になるか。
- 0.5 ✓ 正答
- 1
- 2
- 4
解説
同じ容量の2台のハードディスクを使用する場合、ストライピング方式は2台の容量を合計して利用できるため、記録できる情報量は1台の容量の2倍になります。一方、ミラーリング方式は2台に同じデータを複製して記録するため、記録できる情報量は1台の容量と変わりません。したがって、ミラーリング方式で記録できる情報量はストライピング方式の 倍となります。
RAIDの基本:複数のディスクを連携させる技術
この問題は、ハードディスクを複数台組み合わせて利用する技術である「RAID(Redundant Array of Independent Disks)」に関する知識を問うものです。RAIDは、複数のハードディスクを仮想的に1つのドライブとして認識させ、性能向上や耐障害性(データ消失からの保護)の強化を図る技術です。さまざまなRAIDレベルがあり、それぞれ特性が異なります。
ストライピング(RAID 0)の特性と情報量
ストライピングはRAIDレベル「RAID 0」にあたります。これは、データを複数のハードディスクに分散して書き込む方式です。例えば、1つの大きなデータを複数のブロックに分割し、それぞれのブロックを異なるハードディスクに同時に書き込むことで、読み書きの速度を向上させることができます。
容量の観点からは、2台の同じ容量のハードディスク(仮に1台の容量をとします)をストライピングした場合、その合計容量であるを記録領域として利用できます。つまり、ハードディスクの台数分だけ記録できる情報量が増えることになります。
しかし、ストライピングには大きな欠点があります。それは、接続されているハードディスクのどれか1台でも故障すると、データ全体が失われてしまう点です。データが分割されて書き込まれているため、一部のデータが失われると全体の整合性が取れなくなるためです。そのため、高い信頼性が求められるシステムには単独ではあまり使われません。
ミラーリング(RAID 1)の特性と情報量
ミラーリングはRAIDレベル「RAID 1」にあたります。これは、同じデータを複数のハードディスクに同時に書き込む方式です。まるで鏡に映すように、常に同じ内容が複数のディスクに複製されて保存されます。
容量の観点からは、2台の同じ容量のハードディスク(1台の容量をとします)をミラーリングした場合、データは両方のディスクに全く同じ内容で記録されるため、実際に利用できる記録領域はのみとなります。もう1台のハードディスクは、あくまでデータの複製を保持しているだけで、新たな情報量を記録するために使われるわけではありません。
ミラーリングの最大の利点は、その高い耐障害性です。もしハードディスクの1台が故障しても、もう1台のハードディスクには全く同じデータが残っているため、システムは継続して稼働できますし、故障したディスクを交換すれば簡単にデータを復旧できます。しかし、記録容量の効率が悪いというデメリットがあります。
問題が示す知識の活用場面
この問題は、RAIDの代表的なレベルである「ストライピング(RAID 0)」と「ミラーリング(RAID 1)」の最も重要な違いの一つである「記録できる情報量(容量効率)」を理解しているかを確認しています。
このような知識は、実際にコンピュータシステムを構築したり、サーバーやNAS(Network Attached Storage)を選定したりする際に非常に重要です。
- 速度と容量を優先し、データの損失リスクを許容できる場合: 例えば、一時的な作業ファイルや、簡単に再生成できるデータの保存にはストライピングが選択肢になることがあります。
- データの安全性と可用性を最優先する場合: 企業サーバーのデータベースや、個人にとってかけがえのない写真や動画など、絶対に失いたくないデータの保存にはミラーリングが非常に有効です。
ITパスポート試験では、このように基本的なハードウェア技術がどのような特性を持ち、どのような用途に適しているかという実用的な知識が問われます。RAIDの各レベルの目的、速度、容量効率、耐障害性のトレードオフを理解しておくことは、システム設計や運用を考える上で不可欠な基礎知識と言えます。