平成25年度 春期 ITパスポート試験 公開問題 問83 解説 稼働率の定義
次の式で求まる信頼性を表す指標の説明はどれか。 MTBF / (MTBF + MTTR)
- ア システムが故障するまでの時間の平均値
- イ システムの復旧に掛かる時間の平均値
- ウ 総時間に対してシステムが稼働している割合 ✓ 正答
- エ 総時間に対してシステムが故障している割合
解説
提示された式 は、システムの**稼働率(Availability)**を表す指標です。稼働率とは、システムが要求された機能を、ある与えられた時点または期間にわたって、稼働可能な状態でいられる確率の尺度であり、「総時間に対してシステムが稼働している割合」を意味します。したがって、正解は選択肢 ウ となります。この式を理解するには、構成要素であるMTBFとMTTRについて知る必要があります。
システム稼働を測る二つの時間軸
ITシステムが安定してサービスを提供するためには、故障しにくいことと、故障してもすぐに復旧できることの両方が重要です。これらを表す主要な指標が、MTBFとMTTRです。
MTBF(Mean Time Between Failures:平均故障間隔)
MTBFは、システムが一度故障してから、次に故障するまでの平均稼働時間を指します。文字通り、故障と故障の間の時間という意味です。この値が大きいほど、システムは故障するまでの間隔が長く、安定して稼働し続けることができるため、「信頼性が高い」と評価されます。ITパスポート試験では、「システムの信頼性」を問う文脈で頻繁に登場します。
MTTR(Mean Time To Repair:平均修復時間)
MTTRは、システムが故障してから、修理が完了し、再び正常に稼働し始めるまでの平均時間を指します。つまり、故障による停止期間の平均です。この値が小さいほど、システムは故障しても短時間で復旧できるため、「保守性が高い」と評価されます。障害発生時の迅速な対応能力を示す重要な指標です。
稼働率:システムが使える時間の割合を示す総合指標
稼働率とは、システムが全時間のうち、どれだけの割合で正常に稼働しているかを示す指標です。これは、MTBF(故障しない時間)とMTTR(故障している時間)の二つの指標を組み合わせて算出されます。
システムの稼働サイクルを考えると、システムは稼働(MTBFの時間)し、故障して停止(MTTRの時間)し、また稼働し始める、という繰り返しになります。 したがって、ある一回のサイクルにおける「総時間」は「稼働時間(MTBF)+停止時間(MTTR)」と考えることができます。
このとき、システムが稼働している時間の割合は、以下の式で表されます。
この式は、システムが「利用可能な状態にある時間」が「総観測時間」に対してどの程度の割合を占めているかを示しており、選択肢 ウ の「総時間に対してシステムが稼働している割合」に合致します。
ITパスポート試験と実社会での稼働率の重要性
この稼働率の概念は、ITシステムやサービスを設計・運用する上で非常に実用的な知識です。例えば、オンラインショッピングサイトや金融システム、クラウドサービスなど、24時間365日安定した稼働が求められるシステムでは、稼働率99.999%(「ファイブナイン」と呼ばれます)といった非常に高い目標が設定されることがあります。これは、年間でシステムが停止して良い時間がわずか数分であることを意味します。
ITパスポート試験でこの知識が問われるのは、ITを利用するビジネスパーソンが、システムの安定稼働がビジネスの継続性や顧客満足度に直結することを理解しておくべきだからです。単に数式を覚えるだけでなく、MTBFとMTTRがそれぞれ何を表し、それらを組み合わせた稼働率がどのような意味を持つのかを把握することで、システムの信頼性や保守性を考慮した適切なIT投資や運用管理の判断に役立ちます。