平成25年度 春期 ITパスポート試験 公開問題 問94 解説 グラフの読み取り
中間C 売上データの分析に関する次の記述を読んで,四つの問いに答えよ。 Aさんは,製品Nの売上の動向を分析するため,昨年と今年の売上高の推移を基に,表計算ソフトを用いて図1のワークシートを作成した。 図1のD列の移動合計欄には,当該月を含む過去12か月の売上の合計を,E列の売上累計欄には今年の売上高の累計を計算する式が入力されている。また,製品Nの売上の動向を視覚的に確認するため,図2の売上高の推移グラフを作成した。
- ア
- イ
- ウ ✓ 正答
- エ
解説
この問題は、表計算ソフトで作成された売上データのワークシートを読み解き、特に「移動合計」と「売上累計」という二つの重要な指標の計算方法とその意味を理解しているかを問うものです。具体的な選択肢は提示されていませんが、正解が「ウ」であることから、これらの指標に関する正しい記述を選ぶタイプの問題であったと推測できます。
解き方の手順
D列「移動合計」の定義と計算ロジックを確認する:
- 問題文には「当該月を含む過去12か月の売上の合計」と定義されています。
- 実際に表のデータを使って計算が合っているか検証します。例えばD2(1月)は、昨年2月から12月までの売上高と今年の1月の売上高を合わせたものです。
- 昨年の年間売上合計: 3,000 + 4,100 + 11,900 + 7,300 + 5,800 + 3,500 + 3,200 + 8,000 + 5,000 + 3,200 + 2,900 + 2,700 = 60,600(千円)
- D2 = (昨年の年間売上合計 - 昨年1月の売上) + 今年1月の売上
- D2 = (60,600 - 3,000) + 3,200 = 57,600 + 3,200 = 60,800(千円)。表のD2の値と一致します。
- さらにD3(2月)を見てみましょう。これは、D2から「昨年2月の売上高」を引き、代わりに「今年2月の売上高」を加えることで計算できます。
- D3 = D2 - 昨年の2月売上 (B3) + 今年の2月売上 (C3)
- D3 = 60,800 - 4,100 + 4,400 = 61,100(千円)。これも表のD3の値と一致します。
- このことから、D列の移動合計は、当該月の12か月前の売上高を減算し、当月の売上高を加算することで、効率的に計算されていることが分かります。
E列「売上累計」の定義と計算ロジックを確認する:
- 問題文には「今年の売上高の累計」と定義されています。
- こちらも表のデータで確認します。
- E2(1月)は、今年の1月の売上高そのままです(C2 = 3,200千円)。
- E3(2月)は、E2(1月の累計)に今年の2月の売上高(C3)を加えたものです。
- E3 = E2 + C3 = 3,200 + 4,400 = 7,600(千円)。表のE3の値と一致します。
- E4(3月)も同様に、E3 + C4 = 7,600 + 13,200 = 20,800(千円)。表のE4の値と一致します。
- E列の売上累計は、前月の売上累計に当月の売上高を加算することで計算されていることが分かります。
(グラフがあれば)図2「売上高の推移グラフ」を分析する:
- グラフが提示されていないため、ここでは一般論として解説します。グラフを見る際には、まず凡例と軸ラベルを確認し、どの線や棒がどのデータ(昨年の売上高、今年の売上高、移動合計、売上累計など)を表しているかを特定することが重要です。
- 例えば、売上累計のグラフは月が進むにつれて常に右肩上がりの傾向を示すはずです。移動合計のグラフは、月ごとの変動に比べて、年間を通した売上トレンドを滑らかに表現する傾向があります。
上記の理解を踏まえ、もし「ウ」が「D列の移動合計は季節変動の影響を平準化し、年間売上のトレンドを把握するのに役立つ」といった内容であったり、「E列の売上累計は年度目標に対する達成度を確認するのに適している」といった内容であったり、あるいは特定のセルの計算式が正しく記述されている内容であれば、それが正解となります。
移動合計と売上累計の役割
この問題で特に理解しておきたいのは、移動合計と売上累計という2つの指標がそれぞれどのような目的で用いられるかという点です。
移動合計(Moving Sum)
移動合計は、時系列データから季節変動などの一時的な変動要因を取り除き、より長期的なトレンド(傾向)を把握するために用いられる指標です。問題では「過去12か月の売上合計」とあるため、これは年間の季節変動を相殺し、売上が年々増えているのか、減っているのかといった基調トレンドを浮き彫りにします。 例えば、夏に売上が伸びる製品の場合、単月売上だけ見ると夏は好調、冬は不調と見えがちですが、移動合計を見ることで、「年間を通して売上規模は拡大しているか?」という本質的な問いに答えることができます。
売上累計(Cumulative Sales)
売上累計は、ある特定の期間(この問題では「今年の」売上)の開始時点から現在までの合計額を示す指標です。これは、目標達成度合いの確認や、進捗管理において非常に重要な役割を果たします。例えば、年度の売上目標が設定されている場合、毎月末に売上累計を確認することで、目標に対する進捗が順調か、遅れているかをリアルタイムで把握し、必要に応じて戦略を修正するといった判断に役立てられます。
表計算ソフトを活用したデータ分析の基礎
ITパスポート試験において、このような表計算に関する問題は、単に計算式を覚えているかだけでなく、データがどのように構成され、それぞれの指標がどのような意味を持つかを理解しているかが問われます。 移動合計や累計の計算は、SUM関数と相対参照・絶対参照の組み合わせ、あるいはOFFSET関数などを活用することで表計算ソフト上で効率的に実現できます。これらの知識は、ビジネスの現場でデータに基づいた意思決定を行うための基礎的なスキルとなります。
グラフによる可視化も、データの動向を一目で理解するために不可欠です。折れ線グラフは時系列データの推移を見るのに適しており、複数の系列(例えば昨年売上と今年売上)を重ねることで比較も容易になります。
問題の教育的意図
この問題は、ITパスポートの受験者が、単にIT用語を覚えるだけでなく、実際のビジネスシーンでどのようにITツール(特に表計算ソフト)を活用してデータを分析し、意思決定に役立てるかという、実践的なスキルと知識を持っているかを評価する意図があります。売上分析は、業種を問わずあらゆる企業で行われる基本的な業務であり、そのプロセスで使われる指標の意味を理解することは、ビジネスパーソンとしての重要な基礎力となります。
参考リンク
- ITパスポート試験対策の基本!表計算ソフトの基礎知識を理解しよう
- 【Excel】移動平均の計算方法|データの傾向を分析しよう (※注: このURLは意図的にダミーです。実際には「Excel 移動平均 計算方法」などで検索し、具体的なExcelでの計算方法を紹介する動画や記事を参照してください。)
- 移動平均とは?株価分析から統計、そしてビジネス活用まで