平成27年度 秋期 ITパスポート試験 公開問題 問70 解説 共通鍵暗号方式の特徴
暗号方式には共通鍵暗号方式と公開鍵暗号方式がある。共通鍵暗号方式の特徴として,適切なものはどれか。
- ア 暗号化通信する相手が1人のとき,使用する鍵の数は公開鍵暗号方式よりも多い。
- イ 暗号化通信に使用する鍵を,暗号化せずに相手へ送信しても安全である。
- ウ 暗号化や復号に要する処理時間は,公開鍵暗号方式よりも短い。 ✓ 正答
- エ 鍵ペアを生成し,一方の鍵で暗号化した暗号文は他方の鍵だけで復号できる。
解説
共通鍵暗号方式の決定的な特徴を見抜く
この問題は、共通鍵暗号方式と公開鍵暗号方式の処理速度の違いを知っていれば即答できます。共通鍵暗号方式は「鍵を一つだけ使う」シンプルな仕組みであるため、複雑な数学的処理を必要とする公開鍵暗号方式よりも高速に動作するという点が最大のメリットです。
なぜ共通鍵暗号方式は速いのか
共通鍵暗号方式と公開鍵暗号方式は、暗号化と復号の仕組みが根本的に異なります。
共通鍵暗号方式は、データの送信者と受信者が同一の鍵を持ち、その鍵を使ってデータの変換を行います。単純なビット単位の入れ替えや置換といった計算処理が中心であるため、CPUへの負荷が小さく、非常に高速に処理できます。
一方、公開鍵暗号方式は、数学的にペアとなる二つの鍵を使用します。素因数分解の困難さや離散対数問題など、非常に複雑な計算をベースに作られているため、共通鍵暗号方式に比べて処理時間が長くなります。
選択肢の誤りを確認する
ア:誤りです。相手が1人の場合、共通鍵暗号方式は1つの鍵を共有すればよいのに対し、公開鍵暗号方式は相手の公開鍵と自分の秘密鍵(および自分の公開鍵と相手の秘密鍵)というペアが必要になります。鍵の数だけで比較すると、むしろ共通鍵の方が少なくなります。
イ:誤りです。共通鍵暗号方式では、鍵が流出すると誰でも復号できてしまいます。そのため、鍵を相手に渡す際(鍵配送)には、暗号化したり、対面で渡したりするなど、非常に厳重な管理が必要です。
エ:誤りです。これは公開鍵暗号方式の説明です。共通鍵暗号方式は「同じ鍵」で暗号化と復号を行うため、鍵ペアという概念自体がありません。
実社会での活用:ハイブリッド暗号方式
実際のインターネット通信(HTTPSなど)では、共通鍵暗号方式と公開鍵暗号方式の「いいとこ取り」をしたハイブリッド暗号方式が使われています。
- 通信の開始時に、公開鍵暗号方式を使って「共通鍵」を安全に相手へ受け渡す(鍵配送の課題を解決)。
- その後の実際のデータ通信は、高速な共通鍵暗号方式で行う(処理速度の課題を解決)。
この知識は、セキュリティの基本設計を理解する上で非常に重要です。ITパスポート試験では、それぞれの方式の「メリットとデメリットを比較させる」出題が頻出するため、単なる暗記ではなく、なぜその方式が選ばれるのかという文脈で整理しておくと、試験本番で迷わなくなります。