平成27年度 秋期 ITパスポート試験 公開問題 問82 解説 システム構成と停止時間
2系統の装置から成るシステム構成方式a~cに関して,片方の系に故障が発生したときのサービス停止時間が短い順に左から並べたものはどれか。 a デュアルシステム b デュプレックスシステム(コールドスタンバイ方式) c デュプレックスシステム(ホットスタンバイ方式)
- ア aの片系装置故障,cの現用系装置故障,bの現用系装置故障
- イ bの現用系装置故障,aの片系装置故障,cの現用系装置故障
- ウ cの現用系装置故障,aの片系装置故障,bの現用系装置故障 ✓ 正答
- エ cの現用系装置故障,bの現用系装置故障,aの片系装置故障
解説
停止時間が短い順に並べる判断基準
この問題は、システムの可用性(止まらない能力)に対する考え方を問うています。サービス停止時間が短い順に並べるための判断基準は、故障発生時に「どれだけ素早く処理を継続できるか」という切り替え速度です。
- デュアルシステム(a):2つの系が常に同じ処理を行い、照合しているため、片方が故障しても即座に処理が継続され、停止時間はゼロ(または限りなく短い)。
- ホットスタンバイ(c):待機系が常に稼働状態にあるため、故障検知後に自動で切り替わり、停止時間は短い。
- コールドスタンバイ(b):待機系が停止しているため、起動や再読み込みが必要となり、切り替えに時間がかかる。
したがって、停止時間が短い順は、a、c、bとなります。
システム構成方式の特徴
それぞれの方式がどのような仕組みで動いているのかを理解することで、なぜこの順序になるのかが明確になります。
デュアルシステム 2つのシステムが同じ処理を並行して行い、結果を照合します。片方の系で異常が発生した場合、もう片方の系が正しい処理結果を保持しているため、切り替えという概念を必要とせず、処理を中断させずに継続できます。非常に高い信頼性が求められる金融システムや航空管制システムなどで採用されます。
デュプレックスシステム 現用系と待機系の2つで構成される方式です。現用系が故障した際に、待機系へ処理を引き継ぎます。
- ホットスタンバイ:待機系も常に起動して動いているため、故障時に自動で切り替わります。処理の引継ぎはスムーズです。
- コールドスタンバイ:待機系は停止状態(あるいは別の用途で使用)にあります。故障が発生してから待機系のOSやアプリケーションを起動するため、復旧までに一定の時間がかかります。
実務における可用性の設計
この知識は、ITシステムの設計や運用を行う際に、どの程度のコストをかけて、どの程度の停止を許容できるかという「サービスレベル目標(SLO)」を定めるために活用されます。
ITパスポート試験においてこの知識を問う教育的意図は、単に用語を暗記させることではなく、システムが「止まったら困る」という状況に対して、どのような冗長化技術が適切なのかを判断する「リスクマネジメントの視点」を養うことにあります。
例えば、24時間365日動かし続ける必要があるサービスであれば、コストが高くてもデュアルシステムを採用するべきですし、夜間にメンテナンス停止が許されるシステムであれば、コストを抑えたコールドスタンバイを選択することが適切です。ビジネス環境における費用対効果と信頼性のバランスを考える基礎能力として重要視されています。