平成27年度 春期 ITパスポート試験 公開問題 問32 解説 ウォータフォールモデル
ソフトウェア開発モデルの一つであるウォータフォールモデルの記述として, 適切なものはどれか。
- ア オブジェクト指向開発において, 設計とプログラミングを何度か行き来し, トライアンドエラーで改良していく手法である。
- イ サブシステムごとに開発プロセスを繰り返し, 利用者の要求に対応しながら改良していく手法である。
- ウ システム開発の工程を段階的に分割し, 前工程の成果物に基づいて後工程の作業を順次進めていく手法である。 ✓ 正答
- エ システム開発の早い段階で試作品を作成し, 利用者の意見を取り入れながら要求や仕様を確定する手法である。
解説
選択肢の判断ポイント
ウォータフォール(Waterfall)とは「滝」のことです。滝の水が上から下へ流れるように、開発工程を「要件定義」→「設計」→「実装」→「テスト」といった順番で、一度通り過ぎた工程には戻らない(あるいは戻ることを原則としない)進め方を指します。したがって、工程を分割し、順次進めていくという記述がある「ウ」が正解です。
ウォータフォールモデルの基本概念
ITパスポート試験において、開発モデルの問題は頻出です。それぞれの特徴を以下の対比で押さえておきましょう。
・ウォータフォールモデル 各工程を完了させてから次へ進みます。前の工程で作った成果物が次の工程のインプットになるため、計画が立てやすく、進捗管理がしやすいというメリットがあります。一方で、開発の途中で大きな仕様変更が発生すると、手戻りのコストが非常に大きくなるという弱点があります。
・ア(反復型・アジャイルに近い考え方) 設計と実装を繰り返す手法は、アジャイル開発などで見られます。短期間で小単位の開発を行い、変化に対応しやすくするアプローチです。
・イ(スパイラルモデル) サブシステムごとに開発プロセスを繰り返す手法は、スパイラルモデルなどが該当します。リスクを早期に発見しながら開発を進めたい場合に有効です。
・エ(プロトタイピングモデル) 試作品(プロトタイプ)を作成する手法です。ユーザーと開発者の認識のずれを防ぐために用いられます。
実務における位置付けと教育的意図
この問題が問うているのは、開発手法の特性を正しく理解し、プロジェクトの性質に合わせて適切なモデルを選択できる能力です。
実際の現場では、すべてをウォータフォールで行うわけではありません。しかし、大規模な基幹システムや、仕様変更が許されないような堅牢性が求められるシステムでは、現在でもウォータフォールモデルが主流です。なぜなら、各工程で「承認」を得て確実に品質を担保しながら進めるプロセスが、組織的な合意形成に適しているからです。
一方で、Webアプリやスマートフォン向けアプリなど、ユーザーのフィードバックを即座に反映させたい場合にはアジャイルなどの柔軟な手法が選ばれます。試験対策としては、単に用語を暗記するだけでなく、「なぜこの手法を使うのか(メリット・デメリット)」という視点を持つことが、合格への近道となります。