平成28年度 春期 ITパスポート試験 問1 解説 機能要件と非機能要件
連結会計システムの開発に当たり, 機能要件と非機能要件を次の表のように分類した。aに入る要件として, 適切なものはどれか。
- ア 故障などによる年間停止時間が, 合計で10時間以内であること ✓ 正答
- イ 誤入力した伝票は, 訂正用伝票で訂正すること
- ウ 法定帳票以外に, 役員会用資料作成のためのデータを自動抽出できること
- エ 連結対象とする会社は毎年変更できること
解説
この問題は、要件定義における「機能要件」と「非機能要件」の定義を正しく区別できているかを問うものです。
判断のポイントは、「システムが何をするか(機能)」なのか、「システムがどのようにあるべきか(品質や制約)」なのかを見極めることです。選択肢アは「システムが止まらない(可用性・信頼性)」という品質目標であるため、非機能要件に該当します。
機能要件と非機能要件の考え方
システム開発において、要件は大きく2種類に分類されます。
機能要件 システムが具体的に実行する処理、操作、機能そのものを指します。利用者がシステムを使って「何ができるか」を記述したものです。問題文にある「国際会計基準に則った会計処理ができる」「データを自動抽出できる」といった内容は、すべてシステムの機能そのものです。
非機能要件 システムが機能を実現する際に満たすべき「品質」や「制限事項」のことです。システムの性能、信頼性、セキュリティ、運用性などがこれにあたります。利用者がシステムを快適に、かつ安全に利用するために欠かせない「品質の基準」と言い換えることができます。
なぜこれが非機能要件なのか
選択肢アの「年間停止時間」は、システムがどれだけ安定して稼働し続けるかという「可用性(Availability)」という品質指標に関わるものです。
他の選択肢を見てみましょう。
- イ:伝票訂正という機能(機能要件)
- ウ:データ抽出という機能(機能要件)
- エ:会社変更という機能(機能要件)
これらはすべて「システムで何を実行するか」という具体的な処理動作です。一方で、アだけが「システムが故障せず、いつまでも使えること」という品質面を述べているため、非機能要件の枠に入る正しい選択肢となります。
この知識の活用場面
実務において、非機能要件の定義は非常に重要です。機能要件だけでシステムを作ってしまうと、「機能は動くけれど、反応が遅すぎて使い物にならない」「すぐにサーバーが落ちる」「セキュリティが甘くてデータが漏れる」といった事態を招きます。
要件定義の段階で「何秒以内に画面を表示させるか」「年間に何時間までなら停止を許容できるか」「どのような暗号化方式を採用するか」といった非機能要件を明確にしておくことが、高品質なシステムを構築するための第一歩となります。この分類を意識することは、単なる試験対策にとどまらず、ITエンジニアや企画担当者としてプロジェクトを成功させるための必須スキルです。