平成28年度 春期 ITパスポート試験 問92 解説 バックアップの復元
毎週日曜日の業務終了後にフルバックアップファイルを取得し, 月曜日~土曜日の業務終了後には増分バックアップファイルを取得しているシステムがある。水曜日の業務中に故障が発生したので, バックアップファイルを使って火曜日の業務終了時点の状態にデータを復元することにした。データ復元に必要なバックアップファイルを全て挙げたものはどれか。ここで, 増分バックアップファイルとは, 前回のバックアップファイル(フルバックアップファイル又は増分バックアップファイル)の取得以降に変更されたデータだけのバックアップファイルを意味する。
- ア. 日曜日のフルバックアップファイル, 月曜日と火曜日の増分バックアップファイル ✓ 正答
- イ. 日曜日のフルバックアップファイル, 火曜日の増分バックアップファイル
- ウ. 月曜日と火曜日の増分バックアップファイル
- エ. 火曜日の増分バックアップファイル
解説
バックアップ復元の考え方
この問題の正解を導く鍵は、増分バックアップの性質を理解することです。増分バックアップは直前のバックアップ(フルバックアップまたは増分バックアップ)から変更された差分のみを保存するため、復元時には「直近のフルバックアップ」から「目的の時点までの全ての増分バックアップ」を、取得した順番通りに適用する必要があります。
今回のケースでは、火曜日の終了時点まで戻す必要があるため、日曜日から火曜日までの全てのバックアップファイルを順次適用しなければなりません。
増分バックアップの仕組み
フルバックアップは対象となる全データを保存しますが、増分バックアップは保存容量や時間を削減するために、前回バックアップ時からの差分データのみを保存します。このため、バックアップデータ単体では最新の全データを保持していません。
連鎖的に依存関係があるため、どれか一つでもバックアップファイルが欠けると、それ以降の変更分を復元できなくなります。復元の際は、まず土台となるフルバックアップを戻し、そこに月曜日の差分を反映し、さらに火曜日の差分を反映するという手順を踏むことで、初めて火曜日の業務終了時点の状態が完成します。
バックアップ戦略の重要性
システム運用において、バックアップの頻度と復元手順の理解は、障害発生時のダウンタイム(システムが停止している時間)を左右する極めて重要な要素です。
実際の現場では、増分バックアップは「バックアップにかかる時間と容量を節約できる」というメリットがありますが、今回のように復元手順が複雑になり、時間がかかるというデメリットもあります。そのため、大規模システムでは、フルバックアップと増分バックアップに加えて「差分バックアップ(フルバックアップからの変更分のみを保存)」を組み合わせたり、バックアップ取得後の復元テストを定期的に実施したりして、いざという時の確実な復旧に備えています。
ITパスポート試験では、バックアップの種類(フル、増分、差分)の違いを問う問題が頻出します。バックアップの仕組みを理解しておくことは、システム管理の基本であり、実務でトラブル対応を行う際にも役立つ必須知識といえます。