平成29年度 春期 ITパスポート試験 公開問題 問93 解説 OSSの利用とライセンス
OSS(Open Source Software)を利用した自社の社内システムの開発に関する行為 として,適切でないものはどれか。
- ア 自社でOSSを導入した際のノウハウを生かし,他社のOSS導入作業のサポートを有償で提供した。
- イ 自社で改造したOSSを,元のOSSのライセンス条件に同業他社での利用禁止を追加してOSSとして公開した。 ✓ 正答
- ウ 自社で収集したOSSをDVDに複写して他社向けに販売した。
- エ 利用したOSSでは期待する性能が得られなかったので,OSSを独自に改造して性能を改善した。
解説
OSSライセンスの根本ルールである「利用の自由を制限してはならない」という原則に照らして判断します。OSSは誰でも自由に利用・改変・再配布できることが最大の特徴であり、これに「同業他社の利用禁止」といった制限を加えることは、そのOSSが採用しているライセンスの規定(特にコピーレフトライセンスなど)に明白に違反します。
OSSライセンスには、GPLやMIT、Apacheライセンスなど多くの種類がありますが、共通しているのは「著作権表示やライセンス条件を維持すれば、改変や再配布は自由である」という点です。もし独自に制限を追加したプログラムを公開すれば、元のライセンスが定める「自由な利用の権利」を奪うことになり、法的トラブルの原因となります。
アについて:OSSの導入支援を有償で行うことは、OSSのビジネスモデルとして一般的であり、問題ありません。OSSそのものを売るのではなく、付加価値やサービスに対して対価を得ることは認められています。
ウについて:OSSを複製して販売すること自体は、多くのライセンスで許可されています(ただし、元のライセンス条項を同梱する必要があります)。無料のソフトを販売することに違和感があるかもしれませんが、OSSは「無料であること」よりも「ソースコードが公開され、自由に改変・再配布できること」が本質であるため、この行為は適切です。
エについて:OSSの改変は利用者の重要な権利の一つです。性能向上などの目的で独自に改造することは推奨される行為であり、適切です。
これらの知識は、実際のビジネス現場でOSSを活用する際に極めて重要です。システム開発においてOSSを利用する場合、開発者は「どのライセンスに従うべきか」を確認する義務があります。特に、自分が開発したソフトウェアを配布・販売する場合、利用したOSSのライセンス条件を守らないと、著作権侵害で訴えられたり、ソースコードの公開を強制されたりするリスクがあるからです。この問題は、単に試験の正解を選ぶだけでなく、ソフトウェアライセンスを軽視すると企業が大きな損害を被るという実務的なリスクを理解させる意図があります。
オープンソースライセンスとは何か(OSSコンソーシアム) https://www.osscons.jp/jo0d4c1l1-177/ OSSライセンスの選び方(GitHub) https://choosealicense.com/licenses/