平成30年度 春期 ITパスポート試験 公開問題 問53 解説 ファシリティマネジメント
情報システムの施設や設備を維持・保全するファシリティマネジメントの施策として,適切なものはどれか。
- ア 自家発電装置の適切な発電可能時間を維持するために,燃料の補充計画を見直す。 ✓ 正答
- イ 自社のソフトウェアを一元管理するために,資産管理ソフトウェアを導入する。
- ウ PCの不正利用を防止するために,スクリーンセーバの設定方法を標準化する。
- エ 不正アクセス防止を強化するために,ファイアウォールの設定内容を見直す。
解説
この問題は、ファシリティマネジメントの定義を理解していれば即座に正解できます。判断のポイントは、その対象が「物理的な施設・設備」であるか「論理的な情報資産・仕組み」であるかという点です。
ファシリティマネジメントとは、建物、構築物、設備、備品などの物理的資産を、長期間にわたって有効かつ適切に管理・維持するための経営活動です。端的にいえば、オフィスビルやデータセンターという物理的な箱、およびその中にある発電機や空調、電源設備などが正常に稼働し続けるように管理することを指します。
選択肢を検討する際は、以下の観点で分類します。
ア:自家発電装置は、停電などの非常時に備える物理的な設備です。燃料の補充計画は、設備を維持・保全するための行動そのものなので、ファシリティマネジメントに該当します。
イ:資産管理ソフトウェアは、PCやソフトウェアライセンスの数や状態を把握するための仕組みです。これは情報の管理(IT資産管理)であり、物理設備の保全ではありません。
ウ:スクリーンセーバの設定は、情報漏洩を防ぐためのセキュリティ対策の一つです。PCという物理的な機器は使いますが、目的が物理環境の維持ではなく、情報アクセス制御であるため対象外です。
エ:ファイアウォールは、ネットワーク上の不正な通信を防ぐソフトウェアや機器の設定です。論理的なセキュリティ対策であり、ファシリティマネジメントとは異なります。
この概念は、ITパスポートの試験では「BCP(事業継続計画)」というキーワードとセットで出題されることがよくあります。大地震や停電などの災害発生時、建物や電源などの物理設備が壊れていれば、どんなに高度なセキュリティ対策をしていても事業は継続できません。そのため、ファシリティマネジメントは、企業のBCPを支える土台となる重要な要素として扱われます。
試験では、物理的に触れることができるものか、目に見えない仕組み(ソフト、設定、ルール)であるかを区別することで、迷わずに回答を選べるようになります。
ITパスポート試験ドットコム:ファシリティマネジメント 公益社団法人日本ファシリティマネジメント協会:ファシリティマネジメントとは 総務省:情報セキュリティ対策の基礎知識(物理的セキュリティの重要性について)