平成31年度 春期 ITパスポート試験 問64 解説 WANの可用性向上
二つの拠点を専用回線で接続した WAN でパケットを送受信する場合, 可用性を高 める例として, 適切なものはどれか。
- ア 異なる通信事業者が提供する別回線を加え, 2 回線でパケットを送受信する。 ✓ 正答
- イ 受信側でパケットの誤りを検知し訂正する。
- ウ 送信側でウイルス検査を行い, ウイルスが含まれないパケットを送る。
- エ 送信側でパケットを暗号化して送る。
解説
この問題は「可用性」というキーワードを正しく理解しているかが鍵です。可用性とは、システムや回線が停止することなく、いつでも利用できる状態を指します。
選択肢の中から「停止を防ぎ、継続して利用できるようにする仕組み(冗長化)」を探すことで、正解を導き出せます。
可用性を高めるための考え方
可用性(Availability)を高めるとは、言い換えれば「単一障害点(シングルポイントオブフェリャ)」を排除することです。一つの回線だけに頼っていると、その回線が通信障害を起こした瞬間に通信は途絶してしまいます。
これを防ぐための代表的な手法が冗長化です。異なる通信事業者(キャリア)の回線を複数用意し、並行して運用することで、たとえ片方の回線が地震や工事などで断線しても、もう一方の回線で通信を継続できます。これをマルチホーミングと呼ぶこともあります。
他の選択肢が誤りである理由
残りの選択肢は、可用性以外のセキュリティや信頼性の概念に関する記述です。
イの「パケットの誤りを検知し訂正する」は、データの完全性や信頼性を高めるための機能です。通信の内容が正しいことを保証するものであり、回線そのものが断線した場合の対策ではありません。
ウの「ウイルス検査」とエの「パケットの暗号化」は、どちらも情報セキュリティにおける機密性や完全性を高めるための手段です。これらは安全性を向上させますが、回線がダウンした際の継続性を保証するものではありません。
実務や試験での活用シーン
この「可用性を高める」という考え方は、ネットワーク設計の基本です。試験では「冗長化」や「フェイルオーバ(障害発生時に待機系に切り替えること)」といった用語とセットで出題されます。
実務においては、基幹システムやWebサーバーを構築する際、プロバイダを分けるだけでなく、ルーターなどの機器そのものを二重化することも一般的です。ITパスポートでは、「可用性=止めないための工夫」というイメージを持っておくことで、似たような選択肢の中から正解を瞬時に選べるようになります。
- NTTコミュニケーションズ ICT用語集(冗長化とは)