令和8年度 ITパスポート試験 公開問題 問44 解説 業務効率化の計算
あるサービスデスクでは, 電子メールによる問合せに対応しており, 受付担当者が メールの内容を確認し, 回答担当者の割当てをしていた。このたび, 割当て業務の効 率化を目的に, 自動割当てツールを導入した。自動割当てツールは, メールの内容を 基に自動で回答担当者の割当てを行うが, 割当てができないことや割当てミスをする ことがあり, それらについては, 人手で対応している。導入前及び導入半年後の状況 が次のとき, 割当ての時間はサービスデスク全体で何%削減できたか。ここで, 割当 ての時間の削減率(%)は小数第1位を四捨五入するものとする。
- ア 80
- イ 81 ✓ 正答
- ウ 85
- エ 86
解説
効率化の計算手順
この問題は、自動割当てツール導入による「全業務時間の削減率」を求めるものです。以下の手順で計算します。
導入前の総時間を求める
導入後の総時間を求める
- 自動割当て成功(900件):
- 割当てミス対応(自動割当て900件のうち5%):
- 自動割当て不可(1,000件の10%):
- 導入後の合計時間:
削減率を求める
- 削減された時間:
- 削減率:
- パーセント表示:
※選択肢にある通り、正解はイの81%となります。
数値で見る業務効率化の評価
ITパスポート試験において、この問題は「定量的評価」という考え方を問うものです。ITツールを導入する際、単に「楽になる」という感覚的な判断ではなく、件数と時間という客観的なデータを用いて、実際にどれくらいの改善効果が得られたのかを数値化するプロセスが重要です。
実務では、ITツールを導入した後に、その効果を検証(モニタリング)することが不可欠です。例えば、今回のケースでは「ミス対応に4分かかる」という新しいコストが発生しています。もし自動化の精度が低ければ、かえって業務が煩雑になるリスクもあります。このように、導入前の状態と導入後の状態を比較分析する力は、プロジェクトマネジメントやITサービスの運用管理において、非常に実践的なスキルとなります。
プロセスの分析と改善サイクル
この問題が教育的に優れている点は、ツール導入が必ずしも全ての業務をゼロにするわけではないという「現実的な視点」を盛り込んでいる点です。自動化の恩恵を受ける部分と、人間が介入して修正・対応しなければならない部分(例外処理)を分けて考えることは、システム設計や業務フロー構築の基本です。
今後の改善ステップとしては、以下のサイクルが考えられます。
- 自動割当てミスを減らすためにツールの学習アルゴリズムを修正する
- 割当て不可となった問合せ内容を分析し、自動化対象の範囲を広げる
このように、ツールを導入して終わりではなく、導入後に発生した数値データ(ミス件数や例外件数)をもとに、さらなる業務改善を繰り返していく姿勢が、IT活用において最も大切です。