令和8年度 ITパスポート試験 公開問題 問86 解説 差分バックアップの復旧
データベースの障害に備えて,毎日業務終了後にバックアップファイルを取得して いる。毎週土曜日にはフルバックアップファイルを取得し,日曜日から金曜日は差分 バックアップファイルを取得する。差分バックアップファイルとは,最後のフルバッ クアップファイルから,差分バックアップファイルを取得する当日までの,全ての差 分データのバックアップファイルである。水曜日にデータベースが破損したので,前 日の火曜日の業務終了時点のデータベースに復旧することにした。このとき,データ ベースを復旧させるために最低限必要なバックアップファイルはどれか。
- 日曜日,月曜日及び火曜日の差分バックアップファイル
- 火曜日の差分バックアップファイル
- 土曜日のフルバックアップファイルと,日曜日,月曜日及び火曜日の差分バックアップファイル
- 土曜日のフルバックアップファイルと,火曜日の差分バックアップファイル ✓ 正答
解説
復旧に必要なバックアップファイルを見抜く方法
この問題のポイントは、差分バックアップの性質を正しく理解しているかです。差分バックアップとは、前回のフルバックアップから当日までの全変更分を含んでいます。したがって、水曜日に障害が発生し、火曜日の状態に復旧したい場合、必要なのは以下の2つだけです。
- 直近のフルバックアップ(土曜日)
- 復旧時点の最新の差分バックアップ(火曜日)
土曜日のフルバックアップを戻した後に、火曜日の差分バックアップを適用すれば、火曜日時点の状態が再現されます。他の曜日の差分バックアップは、火曜日のデータの中にすべて含まれているため、復旧には不要です。
差分バックアップと増分バックアップの違い
バックアップの種類には大きく分けて3つあります。ITパスポート試験では、それぞれの特徴を区別して覚えることが不可欠です。
フルバックアップは、対象となるすべてのデータをコピーします。復旧作業は最も短時間で済みますが、毎回すべてのデータを保存するため、時間と容量を大きく消費します。
差分バックアップは、前回のフルバックアップから現在までの「差分」をすべて保存します。復旧の際は、直前のフルバックアップと、復旧したい時点の差分バックアップの「計2つ」を適用します。
これに対し、増分バックアップは、前回のバックアップ(フルまたは増分)から現在までの差分のみを保存します。バックアップデータは小さく済みますが、復旧の際は、フルバックアップを戻した後に、それ以降のすべての増分バックアップを順番に適用する必要があるため、復旧に時間がかかります。
実務におけるデータ保護の考え方
この問題は、企業におけるシステム運用や災害対策の現場で、まさに日々行われている手順を問うています。
システム管理者は、バックアップの頻度と復旧時間のバランスを検討する必要があります。毎日フルバックアップを取れば復旧は容易ですが、データ量が膨大であれば業務時間外にバックアップが終わらないリスクがあります。一方で、バックアップ頻度を下げれば復旧時間は長くなります。
今回のように、フルバックアップと差分バックアップを組み合わせる運用は、ストレージ容量の節約と、障害発生時の復旧速度(RTO:目標復旧時間)の両面を考慮した、現実的かつ効率的な構成です。試験合格のためだけでなく、データの消失が企業の信頼性に直結するという「情報セキュリティ」の基本概念として、この考え方を定着させておきましょう。