第二級陸上特殊無線技士 試験問題例題 (法規 No.1) 問3 解説 電波の質の定義
次の記述は、電波の質について述べたものである。電波法の規定に照らし、[ ] 内に入れるべき字句を下の番号から選べ。 送信設備に使用する電波の [ ] 電波の質は、総務省令で定めるところに適合するものでなければならない。
- 1 周波数の偏差及び幅、高調波の強度等 ✓ 正答
- 2 周波数の偏差、空中線電力の偏差等
- 3 周波数の偏差及び安定度等
- 4 周波数の偏差及び幅、空中線電力の偏差等
解説
電波法第28条に定められた「電波の質」の定義を問う問題です。「電波の質=周波数の偏差及び幅、高調波の強度等」という条文のフレーズを正確に覚えているかが判断根拠となります。選択肢に含まれる「空中線電力」は電波の強さ(量)に関する指標であり、「質」には含まれないため、これを含む選択肢を消去することで正解の1番を絞り込むことができます。
電波の質を構成する3つの要素
電波法第28条において、送信設備に使用する電波の質は総務省令(無線設備規則)で定める基準に適合しなければならないと規定されています。ここでいう電波の質とは、具体的に以下の3つの要素を指します。
- 周波数の偏差:指定された中心周波数からどれだけズレているかを表す精度
- 周波数の幅:送信電波が占有する周波数帯域の広がり(占有周波数帯幅)
- 高調波の強度等:目的とする周波数の整数倍で発生する余計な電波(不要発射・スプリアス)の強さ
これらはすべて、送信される電波がどれだけ「綺麗で正確か」という品質や純度を表す指標です。
紛らわしい選択肢を見極める手順
解答を選ぶ際は、用語が指し示す性質の違いに着目して選択肢を絞り込みます。
まず、「空中線電力」が含まれる選択肢2と選択肢4を除外します。空中線電波(送信パワー)は電波の大きさや強さを表す「量」の概念であり、「質」の規定には含まれません。空中線電力については電波法第29条で別途定められています。
次に、残った選択肢1と選択肢3を比較します。選択肢3にある「安定度」という言葉は一般的な表現としては自然に聞こえますが、法第28条の条文上の正確な表記は「周波数の偏差及び幅、高調波の強度等」です。電波の広がりを制限する「幅」と、他の帯域へ影響を与える「高調波の強度」が含まれている選択肢1が正解となります。
クリーンな電波環境を保つための技術基準
電波は有限でみんなが共有する資源であるため、ひとつの送信設備から質の悪い電波が発射されると、周辺のさまざまな無線通信に重大な混信や障害を引き起こします。
周波数の偏差が大きいと隣接するチャンネルに電波が被ってしまい、周波数の幅が無駄に広いと利用できる帯域を不必要に圧迫します。また、高調波の強度が強いと、全く異なる周波数を使用している別の無線システム(例えば航空無線や防災無線など)に電波障害を与えてしまう危険があります。
この問題は、単に法令の文字を丸暗記させるだけでなく、無線従事者として送信設備を運用・管理する際に「他者に迷惑をかけない質の高い電波を維持する責任がある」という技術的・倫理的な基礎を理解させるために出題されています。