第二級陸上特殊無線技士 試験問題例題(法規 No.3) 問10 解説 無線従事者の処分
無線従事者が電波法又は電波法に基づく命令に違反したときに総務大臣から受けることがある処分はどれか。次のうちから選べ。
- 1 無線従事者の免許の取消し ✓ 正答
- 2 6箇月間の業務の従事の停止
- 3 その業務に従事する無線局の運用の停止
- 4 期間を定めて行う無線設備の操作範囲の制限
解説
無線従事者が電波法やそれに基づく命令に違反したとき、総務大臣から受ける処分を問う問題では、行政処分の「対象」と「処分の限界(期間など)」を正しく整理することが正解への近道です。
この問題は、無線従事者(人)に対する処分として、法律に明記されている「免許の取消し」または「3箇月以内の業務従事の停止」というルールを知っていれば、一瞬で選択肢1の「無線従事者の免許の取消し」を導き出すことができます。
無線従事者に対する行政処分のルール
電波法第79条第1項において、無線従事者が電波法やこれに基づく命令に違反したとき、総務大臣が行うことができる処分は以下の2つに限定されています。
- 無線従事者の免許の取消し
- 3箇月以内の期間を定めた、その業務への従事の停止
無線従事者とは、無線設備を操作するための国家資格を所持している「人」を指します。国家資格を所持している個人に対する最も重いペナルティが「免許の取消し」であり、それに次ぐペナルティが「一定期間の業務停止」です。
この行政処分に関する法規の問題では、「誰に対する処分なのか」と「具体的な期間の数字」が頻繁に試験で問われます。
誤り選択肢を見分ける判断プロセス
試験本番で迷わずに正解を選ぶためには、誤りの選択肢がなぜ間違っているのかを論理的に見分ける必要があります。
選択肢2の「6箇月間の業務の従事の停止」は、停止期間の数字が誤りです。法律で定められている業務従事の停止期間は「3箇月以内」です。「6箇月」という数字は、無線局(組織や設備)に対する運用停止処分などで使われることはありますが、無線従事者個人に対する処分としては「3箇月以内」と決まっています。
選択肢3の「その業務に従事する無線局の運用の停止」は、処分の対象が誤っています。これは「無線局(局)」に対する処分であり、無線従事者「個人(人)」に対する処分ではありません。無線従事者が違反を起こしたからといって、その人が勤務している無線局全体の運用を止める処分を従事者個人に下すのは、処分の矛先が混同しています。
選択肢4の「期間を定めて行う無線設備の操作範囲の制限」は、電波法に存在しない架空の処分です。無線従事者の操作範囲は、取得している免許の級(第三級陸上特殊無線技士など)によって一律に定められており、行政処分によって一時的に操作範囲を狭める(例:3陸特の操作範囲をさらに制限する)といった細かな処分は行われません。
これらを踏まえると、選択肢2、3、4はすべて法律の規定から外れており、選択肢1の「免許の取消し」だけが正しい処分であると判断できます。
免許制限の知識が実務で果たす役割
この問題の知識は、単に試験に合格するためだけのものではありません。無線技術を安全に利用するための、非常に重要な安全弁の役割を果たしています。
第三級陸上特殊無線技士の資格を取得すると、産業用ドローンの操縦、無線LANのプロ向け機器の運用、企業の業務用無線など、社会の重要インフラに関わる無線操作を行うことになります。電波は有限希少な社会的資源であり、ルールを無視した電波の利用は、他者の重要な通信(救急、防災、航空、放送など)を妨害する重大なリスクをはらんでいます。
そのため、電波法に違反したオペレーターに対しては、国家資格そのものを剥奪(免許の取消し)したり、現場での電波利用を禁止(従事停止)したりする厳しいペナルティが用意されています。このペナルティの存在を正しく知っておくことは、無線従事者としてのコンプライアンス(法令遵守)意識を高く保ち、実務において事故や違法運用を防ぐための強い抑止力となるのです。