第三級陸上特殊無線技士 / 第二級陸上特殊無線技士 試験問題例題(無線工学 No.1) / 各問題解説 / 問16
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第二級陸上特殊無線技士 試験問題例題(無線工学 No.1) 問16 解説 SHF帯電波の伝わり方

マイクロ波(SHF)帯の電波の伝わり方として、正しいのはどれか。次のうちから選べ。

  1. 1. 地表波が遠距離まで減衰しない。
  2. 2. 電離層で反射し遠距離まで伝わる。
  3. 3. 雨、雪、霧など気象に影響されない。
  4. 4. 電波の直進性が強い。 ✓ 正答

解説

マイクロ波(SHF帯)は、電波の中でも波長が非常に短く、光に極めて近い性質を持っています。そのため、光のようにまっすぐ進む性質(直進性)が強いという特徴を基準に選択肢を選びます。

マイクロ波(SHF帯)の特徴と電波の性質

電波は周波数によってその性質が大きく異なります。周波数が高くなればなるほど(波長が短くなればなるほど)、電波は光に近い性質を持つようになります。

マイクロ波に分類されるSHF(Super High Frequency)帯は、3GHzから30GHzの周波数を持つ電波です。波長に換算すると10センチメートルから1センチメートルと非常に短いため、以下のような顕著な特徴があります。

・直進性が非常に強い 光が遮蔽物の後ろに回り込みにくいのと同様に、SHF帯の電波も障害物の後ろに回り込む性質(回折)が弱く、送信点から受信点まで見通せる直線ルートで伝わります。

・電離層を突き抜ける 地球の上空にある電離層(電波を反射する性質を持つ空気の層)を反射せず、そのまま突き抜けて宇宙空間へ飛んでいってしまいます。

・雨や霧による影響を受けやすい 波長が雨粒や霧の粒子の大きさに近いため、雨や雪、霧などに衝突して電波が吸収・散乱されやすく、エネルギーが衰えやすい(減衰しやすい)という弱点があります。

正解に至る思考プロセスと選択肢の検証

問題に示された4つの選択肢を、マイクロ波の性質と照らし合わせて検証していきます。

・選択肢1:地表波が遠距離まで減衰しない これは誤りです。地表の輪郭に沿って伝わる地表波は、周波数が低い電波(長波や中波など)ほど遠くまで減衰せずに伝わります。周波数が極めて高いSHF帯では、地表にエネルギーが吸収されやすいため、地表波としてはほとんど伝わりません。

・選択肢2:電離層で反射し遠距離まで伝わる これも誤りです。電離層で反射して地球の裏側などの遠距離まで届くのは、主に短波(HF)帯以下の電波です。SHF帯のような高い周波数の電波は、電離層を反射せずに突き抜けてしまいます。

・選択肢3:雨、雪、霧など気象に影響されない これも誤りです。前述の通り、SHF帯は波長が短いため、雨や雪、霧などの水滴によって電波が散乱・吸収されやすく、気象条件による影響(降雨減衰)を強く受けます。

・選択肢4:電波の直進性が強い これが正解です。SHF帯は光に似た性質を持つため、直進性が非常に強く、特定の方向へピンポイントで電波を飛ばすのに適しています。

現代社会を支えるマイクロ波の技術と出題意図

この問題が無線従事者試験で問われる理由は、私たちが日常的に利用している多くの最先端通信技術が、この直進性が強いというSHF帯の性質を応用しているからです。

例えば、携帯電話の5G通信、衛星放送(BS/CS)、気象レーダー、そして電子レンジなどがSHF帯を利用しています。 直進性が強いということは、アンテナの向きを送信元と受信元で正確に合わせることで、他の電波と干渉することなく、大容量のデータを高速にピンポイントで送受信できるという大きなメリットになります。一方で、ビルや山などの遮蔽物があると通信が途切れてしまうため、中継局を細かく配置するなどの実務的な工夫が必要になります。

陸上特殊無線技士として、扱う電波の周波数ごとの強みと弱みを正しく把握し、適切な通信ルートの確保やアンテナ設置を行うための基本知識として、このSHF帯の性質の理解は極めて重要です。

参考リンク

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