第二級陸上特殊無線技士 試験問題例題(無線工学 No.1) 問19 解説 デジタル変調
次の記述は、デジタル変調について述べたものである。 ⬜︎ 内に入れるべき字句の正しい組合せを下の番号から選べ。 PSKは、ベースバンド信号に応じて搬送波の [ A ] を切り替える方式である。 また、QPSKは、1回の変調で [ B ] ビットの 情報を伝送できる。
- 1. 振幅 3
- 2. 振幅 2
- 3. 位相 3
- 4. 位相 2 ✓ 正答
解説
デジタル変調の名称にあるアルファベットの意味と、送信できる情報量の対応関係に注目することが、この問題を一瞬で解く鍵です。
PSKの「P」は位相を意味するPhase(フェーズ)の頭文字であるため、Aには「位相」が入ります。 QPSKの「Q」は4を意味するQuadrature(四値)を表し、4つの状態()を一度に表現できるため、1回の変調で送れる情報量(B)は「2」ビットになります。 この2つの知識を組み合わせるだけで、正解の選択肢4を導き出すことができます。
デジタル変調の3大方式とPSKの特徴
デジタル信号(0と1のデータ)を無線で飛ばすためには、高周波の波(搬送波)にデータを乗せる「変調」という技術が必要です。搬送波のどの要素を変化させるかによって、主に3つのデジタル変調方式に分かれます。
ASK(振幅変調:Amplitude Shift Keying) 波の「振幅(強さ)」を変化させてデータを表します。
FSK(周波数変調:Frequency Shift Keying) 波の「周波数(細かさ)」を変化させてデータを表します。
PSK(位相変調:Phase Shift Keying) 波の「位相(タイミングのズレ)」を変化させてデータを表します。
問題文にあるPSKは、Phase Shift Keyingの略です。Phaseは日本語で位相を意味します。したがって、ベースバンド信号に応じて搬送波の位相を切り替える方式であることがわかります。
QPSKにおけるビット数と状態数の関係
PSKの最もシンプルな形であるBPSK(Binary PSK)は、位相を0度と180度の2つの状態に変化させ、それぞれに0と1を割り当てます。これは1回の変調で1ビットの情報を送る方式です。
これに対して、QPSK(Quadrature PSK)は、位相を4つの異なる角度(例えば45度、135度、225度、315度)に変化させます。 4つの異なる状態を作り出せるということは、2進数の2桁分のデータを一度に表現できることになります。
- 45度のとき:00
- 135度のとき:01
- 225度のとき:11
- 315度のとき:10
このように、4つの状態()を区別することで、1回の変調(1シンボル)につき2ビットの情報を同時に伝送できるようになります。QPSKのQは4値を意味するため、送れる情報は2ビットとなります。さらに状態数を増やした8PSKであれば、8つの状態()を区別するため、1回で3ビットを送ることができます。
デジタル変調の技術が実社会で果たす役割
この問題で問われているPSKやQPSKといったデジタル変調技術は、現代のワイヤレス社会を支える根幹技術です。スマートフォンの4Gや5G通信、家庭のWi-Fi、衛星放送、そして陸上移動業務で使われる各種デジタル無線機に広く採用されています。
限られた電波の周波数帯域の中で、できるだけ多くのデータを速く、正確に送るためには、1回の変調でより多くのビット数を送る工夫が必要です。しかし、一度に送るビット数を増やす(例えばQPSKから16QAMや64QAMにする)と、ノイズや電波の乱れに対して弱くなり、エラーが発生しやすくなるというデメリットも生じます。
第三級陸上特殊無線技士の資格試験において、この変調方式の仕組みが出題されるのは、電波という限られた資源を有効に使うための基礎理論と、機器がデータを送受信する際の通信品質のトレードオフを理解するための重要なステップだからです。