第三級陸上特殊無線技士 / 第二級陸上特殊無線技士 試験問題例題(無線工学 No.2) / 各問題解説 / 問24
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第二級陸上特殊無線技士 試験問題例題(無線工学 No.2) 問24 解説 緩衝増幅器

送信機の緩衝増幅器は、どのような目的で設けられているか。次のうちから選べ。

  1. 1. 所要の送信機出力まで増幅する。
  2. 2. 終段増幅器の入力として十分な励振電圧を得るため。
  3. 3. 発振周波数の整数倍の周波数を取り出すため。
  4. 4. 後段の影響により発振器の発振周波数が変動するのを防ぐため。 ✓ 正答

解説

「緩衝」という言葉が持つ、衝突や影響を和らげる(クッションとなる)という意味に着目します。発振器で作られたデリケートな信号を、後ろの回路(後段)で発生する変動から守るための役割を果たしている選択肢4を選びます。

緩衝増幅器が必要とされる理由と回路の動作

送信機の中では、電波の元となる高周波の信号を作り出す発振器が動作しています。この発振器は、接続される負荷(後ろの回路の抵抗値など)の変動に非常に敏感です。

もし発振器の後ろに、電波を強くするための大きな増幅器やアンテナを直接つなげてしまうと、それらの回路の動作状態や周囲の環境変化(アンテナの揺れなど)が発振器に直接伝わってしまいます。これにより、発振器が作り出す信号の周波数がふらふらと動いてしまう周波数変動が発生し、電波の質が著しく低下します。

そこで、発振器と後段の回路の間に緩衝増幅器(バッファアンプ)を挿入します。緩衝増幅器は、入力された信号をそのまま出力側へ伝える一方で、出力側から入力側への逆方向の影響(負荷変動の伝達)を遮断する特性を持っています。これにより、発振器は後ろの回路で何が起きているかを気にする必要がなくなり、常に安定した一定の周波数で発振し続けることができます。

各選択肢の役割と送信機の全体像

試験で他の選択肢と混同しないよう、それぞれの役割を整理しておきましょう。

所要の送信機出力まで増幅する

これは終段増幅器(電力増幅器)の役割です。送信機の最も最後の部分に位置し、アンテナから電波を遠くまで飛ばすために十分な電力まで信号を増幅します。

終段増幅器の入力として十分な励振電圧を得るため

これは励振増幅器(ドライブアンプ)の役割です。終段増幅器を効率よく、かつ十分に動作させるために、手前の段階で信号の電圧や電力をあらかじめ適正なレベルまで高めておくために用いられます。

発振周波数の整数倍の周波数を取り出すため

これは周波数増倍器の役割です。低い周波数で安定して発振させた信号の周波数を、2倍や3倍に掛け算して目的の送信周波数を作り出すために用いられます。

後段の影響により発振器の発振周波数が変動するのを防ぐため

これが緩衝増幅器の役割です。前後の回路を電気的に切り離す(アイソレーションを確保する)ことで、発振器の動作の安定を守ります。

無線通信における一方通行の重要性

回路同士が互いに影響を与え合わないようにするアイソレーション(分離)の考え方は、安定した通信を行う上で欠かせない非常に重要な概念です。

もし緩衝増幅器がなければ、送信機が電波を出した瞬間にそのパワーの変動が発振器に跳ね返り、送信周波数がずれてしまいます。周波数がずれるということは、受信側で音が途切れたり、ノイズが乗ったりする原因になります。さらに、本来使用してはならない隣の周波数に電波がはみ出してしまい、他の無線局に重大な混信(スプリアス妨害)を与えてしまうリスクもあります。

現代の無線技術では、自局の通信品質を保つことと同じくらい、他の無線局の通信を妨害しないことが強く求められます。この試験問題は、送信機の内部で発振周波数の安定度をいかにして保っているかという、無線設備の基本中の基本を理解しているかを問う重要な位置づけとなっています。

参考リンク

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