第二級陸上特殊無線技士 試験問題例題(無線工学 No.3) 問18 解説 アナログテスタの測定
一般に使用されているアナログ方式の回路計(テスタ)で、直接測定できないのはどれか。次のうちから選べ。
- 1. 交流電圧
- 2. 抵抗
- 3. 直流電流
- 4. 高周波電流 ✓ 正答
解説
アナログテスタの測定限界を知ることは、無線従事者として安全に測定を行うための基本です。一般的なアナログテスタで「直接測定できないもの」を問われたら、高周波成分を含んでいるかどうかを判断基準にしてください。
アナログテスタで測定できる範囲
アナログテスタは、主に「直流電圧」「直流電流」「交流電圧」「抵抗」の4項目を測定する計器です。これらは、テスタ内部にある可動コイル形計器(指針が振れる仕組み)に対して、適切な整流回路や分流器・倍率器を組み合わせることで測定を実現しています。
しかし、これらの回路構成は、あくまで商用電源周波数(50Hzや60Hz)からせいぜい数キロヘルツ程度までの低周波を想定したものです。
なぜ高周波電流は測定できないのか
高周波電流は、非常に速いスピードで向きが変わる電気信号です。これをそのまま一般的なテスタで測定しようとすると、主に二つの問題が発生します。
第一に、テスタ内部の整流器(交流を直流に変換するダイオード)が、高い周波数に追従できません。ダイオードには自身の構造による寄生容量があり、周波数が高くなると整流作用が正常に機能しなくなります。
第二に、テスタに接続する測定リード線やテスタ内部の回路が、高周波に対しては単なる配線ではなく、インダクタンス成分や容量成分として強く作用してしまいます。これにより測定対象の回路に悪影響を与えるだけでなく、高周波エネルギーが正確に計器へ伝わらず、測定値がゼロに近い値を示すか、全く計れないという結果になります。
無線機の出力など、高周波エネルギーを測定したい場合は、テスタではなく、高周波プローブを取り付けた測定器や、電力計(パワーメータ)などの専用機器を用いるのがルールです。
測定器を使い分けることの重要性
この問題は、試験対策としてだけでなく、現場での事故防止という意味でも重要です。テスタが測定できるものとできないものを混同すると、誤った測定によりテスタを破損させたり、あるいは正常な回路に影響を与えて故障を誘発させたりするリスクがあります。
無線局の運用管理においては、低周波回路と高周波回路を明確に区別し、それぞれの特性に適した測定機器を選ぶ姿勢が求められます。「テスタでどこまで測定できるか」という知識は、適切な機器を選択するための最初のステップと言えます。