第二級陸上特殊無線技士 試験問題例題(無線工学 No.3) 問23 解説 レーダー用マイクロ波
レーダーにマイクロ波(SHF)が用いられる理由で、誤っているのはどれか。次のうちから選べ。
- 1. 波長が短いので、小さな物標からでも反射がある。
- 2. 豪雨、豪雪でも小さな物標を見分けられる。 ✓ 正答
- 3. アンテナを小形にでき、尖鋭なビームを得ることが容易である。
- 4. 空電の妨害を受けることが少ない。
解説
この問題は、マイクロ波(SHF帯)という電波の性質と、気象条件による影響を比較して誤りを見つける問題です。「マイクロ波=雨や雪に弱い」という性質さえ押さえておけば、すぐに正解を導き出せます。
マイクロ波が持つ物理的な特性
レーダーには、高い周波数であるマイクロ波(SHF帯など)が利用されます。この周波数帯には、以下の大きなメリットがあります。
- 直進性が強く、鋭いビームを絞りやすいため、遠くの物標の位置を正確に把握できる。
- アンテナの大きさを小さく設計できるため、船舶や航空機などの限られたスペースにも設置しやすい。
- 空電(雷などによる電磁波ノイズ)の影響を受けにくく、安定した通信・観測が可能である。
- 波長が短いため、微小な物標にも電波が当たり、反射波を捉えやすい。
これらの特徴は、レーダーの性能を決定づける非常に重要な要素です。
降雨・降雪と電波の干渉
マイクロ波が持つ「波長が短い」という性質は、雨や雪との関係においてデメリットとして働きます。
電波は、その波長と同程度の大きさの物体に当たると、激しく散乱したり吸収されたりします。雨滴や雪片のサイズは数ミリ程度であり、これはマイクロ波の波長と非常に近いサイズです。そのため、雨や雪の粒が「鏡」や「壁」のような役割を果たしてしまい、電波が本来の対象物(船や島など)に届く前に跳ね返されたり、吸収されて減衰したりしてしまいます。
これを降雨減衰と呼びます。大雨が降るとレーダー画面が真っ白になり、本来映るべき物標が隠れて見えなくなるのはこのためです。したがって、豪雨や豪雪の中で小さな物標を見分けるのは非常に困難になります。選択肢2の内容は、まさにこの性質に反しているため「誤り」となります。
なぜこの知識が重要なのか
無線技術を学ぶ上で、電波は周波数によって「得意なこと」と「苦手なこと」が全く異なるという理解が不可欠です。
レーダーの運用者は、晴天時と悪天候時でレーダーの性能が変化することを理解しておかなければなりません。もし「マイクロ波なら雨でも完璧に見える」と誤解していれば、荒天時に航行安全を見誤り、重大な事故につながる恐れがあるからです。試験問題は、こうした機器の特性限界を正しく理解しているかを問うことで、将来の無線従事者としての安全意識を養う意図を持っています。