令和7年度 下期 学科試験 問4 解説 電波の発射停止命令
総務大臣が無線局に対して臨時に電波の発射の停止を命ずることができるのはどの場合か。次のうちから選べ。
- 1 無線局の発射する電波の質が総務省令で定めるものに適合していないと認めるとき。 ✓ 正答
- 2 運用の停止を命じた無線局を運用していると認めるとき。
- 3 無線局が免許記録に記録されている空中線電力の範囲を超えて運用していると認めるとき。
- 4 無線局の発射する電波が他の無線局の通信に混信を与えていると認めるとき。
解説
電波法第72条の「電波の発射の停止命令」に関する条文知識を問う問題です。この問題は、無線局が適正な状態で運用されているかを監視するための、総務大臣の強力な権限について理解しているかで判断します。
電波の質と管理の義務
無線局は、免許を受けた内容に従って運用することはもちろん、その発射する電波の品質が総務省令で定められた技術的条件を満たしている必要があります。これは、自局の通信だけでなく、周囲の無線局や電波環境全体を守るための最低限のルールです。
電波の質とは、具体的には周波数の偏差(ズレ)や、許容される占有周波数帯幅、スプリアス発射の強さなどを指します。これらが守られていない状態は、電波法の秩序を根底から揺るがす重大な不適合とみなされます。そのため、法律では「臨時に電波の発射を停止させる」という強い措置が用意されています。
法律の条文を読み解く思考法
本問を解く際は、電波法における行政処分が「なぜ行われるのか」という視点を持つことが重要です。
まず、他の選択肢(2、3、4)を確認します。これらは無線局の運用違反として問題視されるべき事項ですが、法律上、即座に「電波の発射の停止」を命ずる事由としては、選択肢1が最も直接的かつ優先的に規定されています。電波法第72条第1項には、無線局の発射する電波の質が技術基準に適合していないと認められる場合、総務大臣は改善を命ずるだけでなく、緊急の措置として停止を命ずることができると定められています。
試験対策としては、以下のフローで判断します。
- 状況確認:電波の質が悪い(法令適合外)か?
- 権限の有無:総務大臣が停止命令を出せるか?
- 法律の規定:電波法第72条に基づく措置として正しいか?
これらが合致しているものが正解となります。他の選択肢は、運用違反による免許の取り消しや停止処分など、別の法的手続きの対象となるケースが多いものです。
現場で求められる安全意識
この知識は、単なる試験用の暗記にとどまりません。現場で無線設備を扱うオペレーターやエンジニアにとって、「電波の質」を維持することは非常に重要な責務です。もし自身の無線局の電波が不安定であったり、故障によって不適合な電波を発射してしまったりした場合、最悪のケースでは業務を強制的に停止させられる可能性があります。
電波は公共の資源です。自分自身の通信環境を整えることは、免許人としての法的義務であり、また他の無線局と協調して通信を行うための基本的なマナーでもあります。「電波の質を保つことが、運用停止を免れる唯一の道である」という意識を持つことが、無線従事者としてのプロフェッショナリズムといえます。