第三級海上特殊無線技士 / 令和7年度 下期 学科試験 / 各問題解説 / 問15
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令和7年度 下期 学科試験 問15 解説 レーダー装置の機能

次の記述は、レーダー装置の機能について述べたものである。誤っているのはどれか。下の番号から選べ。

  1. 1. 航行中の船舶等を探知し、方位や距離が測定できる。
  2. 2. 物標が小物体でも、最小探知距離内にあれば、識別ができる。 ✓ 正答
  3. 3. 島や山の背後に隠れた物標は、探知できない。
  4. 4. 小型の木船は、金属製の船舶に比べ探知しにくい。

解説

この問題は、レーダーが電波の「送信」と「受信」を切り替えて動作する仕組みを理解していれば、すぐに正解にたどり着けます。レーダーは送信波を出している間は受信ができないため、装置のすぐ近くにある物標(最小探知距離内のもの)は探知できないという原理がわかれば、誤っている選択肢の2が即座に選べます。

送受信の切り替えと最小探知距離

レーダーは、アンテナから電波をパルス状に発射し、物標に当たって跳ね返ってきた電波を受信することで、距離や方位を測定します。しかし、一つのアンテナで送信と受信を交互に行うため、パルスを出している間は受信機がブロックされ、信号を受け取ることができません。

送信したパルスがアンテナから出て戻ってくるまでの時間が極端に短い場合、まだ送信パルスが出ている最中に反射波が戻ってきてしまいます。このため、装置から近すぎる場所(最小探知距離内)にある物標は、送信パルスの強大な電波に隠れてしまい、受信機で捉えることができないのです。したがって、最小探知距離内であれば「識別できる」とする記述は誤りとなります。

なぜ他の選択肢は正しいのか

選択肢1、3、4はレーダーの特性を正しく述べています。

選択肢1にある通り、レーダーは航行中の他船や陸地を探知し、相対的な距離と方位を画面上に表示するための装置です。

選択肢3については、レーダー波は光と同じく「直進」する性質を持っています。そのため、障害物(島や山)を回り込んで裏側の物標を探知することはできません。この特性を「電波の影」と呼びます。

選択肢4については、レーダー波の反射強度は物標の材質や大きさに大きく依存します。金属は電波をよく反射しますが、木材やプラスチック(FRP)などは電波を透過させたり吸収したりしやすいため、同じ大きさの金属船と比較すると反射波が弱く、画面上に映りにくいという特徴があります。

現場での安全運航におけるレーダーの限界

この知識は、実際に船舶を操船する際に「見えない敵」を想定するために必須です。

例えば、混雑した海域でレーダーを頼りに操船する場合、レーダー画面に何も映っていないからといって、すぐ近くに何もいないと判断するのは危険です。最小探知距離内の死角に小型の漁船やブイが存在している可能性があるからです。レーダーは非常に便利な道具ですが、電波の特性による物理的な限界(最小探知距離や電波の影)があることを理解し、必ず目視による見張り(見張り義務)と併用することが、海上での安全を守るための基本となります。

参考リンク

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