第三級海上特殊無線技士 / 令和7年度 下期 学科試験 / 各問題解説 / 問16
certification-simodake-work

令和7年度 下期 学科試験 問16 解説 1/4波長垂直接地アンテナ

1/4波長垂直接地アンテナの記述で、誤っているのはどれか。次のうちから選べ。

  1. 1. 電流分布は先端で零、基部で最大となる。
  2. 2. 指向性は、水平面内では全方向性(無指向性)である。
  3. 3. 固有周波数の奇数倍の周波数にも同調する。
  4. 4. 接地抵抗が大きいほど効率が良い。 ✓ 正答

解説

この問題は、アンテナの「効率」に関する基本的な物理法則を問うものです。誤っているものを選ぶ問題ですので、選択肢の中で「電気回路として明らかに不都合な条件」を探すのが正解への最短ルートです。結論として、接地抵抗は電力を熱として消費してしまう「無駄な抵抗」であるため、これが小さいほどアンテナとしての効率は高くなります。

接地抵抗がアンテナ効率に及ぼす影響

アンテナの効率とは、送信機から供給された高周波電力が、どれだけ効率よく電波として放射されるかを示す指標です。実際のアンテナには放射抵抗という、電波を出すために必要な抵抗と、接地抵抗のような損失抵抗が存在します。

接地抵抗が大きいということは、本来電波として放射されるべきエネルギーが、地面という「抵抗」によって熱エネルギーに変換されて消えてしまうことを意味します。そのため、効率を最大化するためには、この損失である接地抵抗を限りなくゼロに近づけることが理想となります。

なぜ他の選択肢が正しいのか

1/4波長垂直接地アンテナ(モノポールアンテナ)の特性を整理すると、選択肢の記述が正しい理由が見えてきます。

まず、電流分布については、アンテナの先端(開放端)では電流が流れなくなるためゼロとなり、給電点である基部で最大となります。これは定在波の基本的な性質です。

指向性については、アンテナを地面に対して垂直に立てるため、水平方向から見るとどの角度に対しても均等に電波が飛びます。これを全方向性、あるいは無指向性と呼びます。

固有周波数に関する記述は、アンテナの長さを物理的な長さの1/4だけでなく、3/4、5/4といった奇数倍にすることで、同じ給電点インピーダンスで共振させることが可能であることを示しています。これらはすべてアンテナ工学における基本性質です。

アンテナ設計における実用的な視点

この問題の教育的意図は、単に知識を問うだけでなく「損失の最小化」という工学の原則を理解させることにあります。実際の無線局の設営現場では、接地抵抗を減らすために以下のような工夫がなされます。

・接地網(ラジアル線)の設置:アンテナ基部の周囲に多数の金属線を放射状に埋め込み、大地との電気的な接触面積を広げることで抵抗を下げます。 ・導電性の高い土壌の選定:可能であれば塩分を含んだ湿った土壌の方が接地抵抗は低くなります。

試験で問われるのは基礎的な原理ですが、これらの知識は実際に無線設備を構築する際、電波の飛びを良くするための非常に現実的な指針となります。理論上の数値と実際の運用現場における性能の乖離を埋めるのは、こうした損失に対する正しい理解です。

参考リンク

学習の記録にははてなブックマーク!

気づいたこと・覚えたことをコメントにメモしよう