第四級アマチュア無線技士 CBT試験問題例題(法規 No.2) 問9 解説 非常通信の応答
非常の場合の無線通信において、無線電話により連絡を設定するための応答は、次のどれによって行うことになっているか。
- 1. 応答事項の次に「非常」3回を送信する。
- 2. 応答事項の次に「非常」1回を送信する。
- 3. 応答事項に「非常」3回を前置する。 ✓ 正答
- 4. 応答事項に「非常」1回を前置する。
解説
「非常」という言葉を「何回」「どこに」配置するかを整理して覚えることが、この問題を解くもっともシンプルな方法です。正解は、応答メッセージ(応答事項)の前に「非常」を3回繰り返して送信することです。
確実な伝達のための非常通信ルール
非常通信は、地震や台風、洪水などの災害が発生し、あるいは発生するおそれがあるときに、有線の通信手段(電話やインターネットなど)が使えない、または利用が極めて困難な状況において行われる特別な通信です。
人命救助や災害救助、秩序の維持など、一刻を争う重要な情報をやり取りするため、電波法および無線局運用規則においてその手順が厳格に定められています。
無線電話(音声による通話)でこの非常通信の応答を行うときは、相手に対して「これから送る内容は、通常の交信ではなく命に関わる緊急の通信である」ことを瞬時に、かつ確実に認識させなければなりません。そのため、通信の冒頭に強い注意喚起としてのシグナルを付与します。
選択肢を絞り込む思考プロセス
この問題を解く際は、言葉の位置と回数に注目します。
まず、メッセージの位置について考えます。 緊迫した災害時には、電波の状態が悪いことや、周囲に雑音が多いことが予想されます。メッセージの最後(次に送信する)に非常であることを伝えても、途中で電波が途切れてしまえば、それが緊急の通信であったことすら伝わりません。したがって、まずは相手の注意を引きつけるために、必ず言葉を前(前置する)に置く必要があります。この時点で、選択肢1と2は除外されます。
次に、発言する回数について考えます。 「非常」と1回だけ発言した場合、一瞬のノイズや聞き漏らしによって、その言葉が消えてしまうリスクがあります。確実に相手に意識させ、なおかつ周囲で受信している他の無線局にも「今は非常通信が行われているから送信を控えて傍受しよう」と静粛を促すためには、複数回の連呼が必要です。法規ではこの回数を3回と定めています。
これらを組み合わせることで、「応答事項に『非常』3回を前置する」という選択肢3が正しいと論理的に導き出すことができます。
非常時のプロトコルが持つ教育的意図と実用性
第四級アマチュア無線技士の試験において、非常通信に関する問題が繰り返し出題されるのには強い教育的意図があります。
アマチュア無線は趣味の王様と呼ばれる一方で、社会貢献や災害時における最後の通信手段としての役割を期待されています。実際に過去の震災時においても、孤立した集落からの救助要請や避難所の状況報告などにアマチュア無線が活躍しました。
災害の現場は誰しもパニックに陥りやすいものです。そうした極限状態であっても、決められた通信プロトコル(手順)を守って冷静に「非常、非常、非常」と応答できれば、混信を防ぎ、最短ルートで必要な情報を必要な場所へ届けることができます。このルールを事前に頭に叩き込んでおくことは、有事の際に自他の一命を救うための実践的な知識として、非常に大きな意味を持っています。