第四級アマチュア無線技士 CBT試験問題例題(法規 No.2) 問12 解説 免許状の備付け
移動するアマチュア局(人工衛星に開設するものを除く。)の免許記録は、どこに備え付けておかなければならないか、次のうちから選べ。
- 1. 免許人の住所
- 2. 送信装置のある場所(当該送信装置を用いて当該無線局を運用し、又は運用しようとするときに限る。)又は無線設備の常置場所 ✓ 正答
- 3. 受信装置のある場所
- 4. 無線局事項書の写しを保管している場所
解説
移動する無線局は、実際に電波を出す運用時には送信装置のすぐそばに免許記録(免許状)を置き、運用していない普段は無線設備を保管している場所に置いておく必要があります。この運用時と非運用時における備え付け場所の両方を網羅している選択肢2が正解となります。
無線局の身分証明書である免許記録のルール
アマチュア無線局を開設すると、国から無線局免許状(またはその免許記録)が交付されます。これは、その無線局が国から認められ、合法的に開設されていることを証明する極めて重要なものです。
電波法第60条では、無線局には免許状(または免許記録)を備え付けておかなければならないと定めています。自宅に機材を固定して設置する「移動しないアマチュア局」であれば、送信機がある部屋に常に掲示しておけば問題ありません。しかし、車載機やハンディ機のように「移動するアマチュア局」の場合は、常に同じ場所に置いておくわけにはいきません。そのため、移動する局専用のルールが法律で定められています。
移動する局ならではの備え付け場所の判断
移動するアマチュア局の免許記録の備え付け場所は、以下の2つの状況に分けて考えます。
実際に無線機を使って運用している(または運用しようとしている)とき このときは、送信装置のある場所に免許記録を備え付けます。例えば、車で移動運用しているなら車内に、山に登ってハンディ機を使っているならその手元やポケットの中に免許記録を携帯しておく必要があります。
運用していないとき 無線機を自宅に片付けているなど、運用していない普段のときは、あらかじめ申請してある無線設備の常置場所に備え付けます。
選択肢2の記述は、この2つの状況を「送信装置のある場所(当該送信装置を用いて当該無線局を運用し、又は運用しようとするときに限る。)又は無線設備の常置場所」という表現で正確に説明しています。
他の選択肢が誤りである理由は以下の通りです。
- 選択肢1(免許人の住所):無線設備の常置場所は、必ずしも免許人の住所と一致するとは限りません。例えば、別荘や実家を常置場所として申請しているケースもあるため、一律に免許人の住所とは定められていません。
- 選択肢3(受信装置のある場所):電波法は主に混信や違法電波を防ぐために「電波を発射する送信装置」を厳格に規制する法律です。受信のみを行う装置の場所は、免許の備え付け基準にはなりません。
- 選択肢4(無線局事項書の写しを保管している場所):事項書の写しは申請書類の控えに過ぎず、国から交付された許可の証明である免許状(免許記録)の代わりにはなりません。
実際の運用シーンと制度の教育的意図
アマチュア無線は、屋外や車内、あるいは災害時の避難先など、様々な場所から電波を発射できるのが大きな魅力です。しかし、屋外で無線を運用していると、不法無線局の取り締まりを行っている電波監視官や警察官から、免許の提示を求められることがあります。
このとき、手元に免許を証明できるものが何もなければ、合法的に運用していることをその場で証明できません。こうしたトラブルを防ぎ、アマチュア無線家がルールに則って正しく電波を利用できるようにするために、この備え付け義務が課されています。
近年では、紙の免許状をアクリルプレートやラミネートに入れて持ち歩くだけでなく、スマートフォンの画面等で総務省の電波利用ホームページにアクセスし、自身の「免許情報(免許記録)」をすぐに提示できるように準備しておくといった、現代的な運用方法をとる無線家も増えています。この問題は、単なる試験用の暗記項目ではなく、フィールドに出て安全に無線を楽しむための必須のセーフティルールを教える意図を持っています。