第三種電気主任技術者試験 / 令和4年度第三種電気主任技術者下期試験 電力科目 / 各問題解説 / 問100
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令和4年度第三種電気主任技術者下期試験 電力科目 問100 解説 問10 令和4年度第三種電気主任技術者下期試験 電力科目 問10

問10 地中送配電線の主な布設方式である直接埋設式,管路式及び暗きょ式について,各方式の特徴に関する記述として,誤っているものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

  1. (1) 直接埋設式は,他の方式と比較して工事費が少なく,工事期間が短い。
  2. (2) 管路式は,直接埋設式と比較してケーブル外傷事故の危険性が少なく,ケーブルの増設や撤去に便利である。
  3. (3) 管路式は,他の方式と比較して熱放散が良く,ケーブル条数が増加しても送電容量の制限を受けにくい。 ✓ 正答
  4. (4) 暗きょ式は,他の方式と比較して工事費が多大であり,工事期間が長い。
  5. (5) 暗きょ式は,他の方式と比較してケーブルの保守点検作業が容易であり,多条数の布設に適している。

解説

管路式は、管の中にケーブルを収めるため熱の伝わりにくい空気層が介在し、他の方式に比べて熱が逃げにくく(熱放散が悪く)、ケーブル条数が増えると互いの発熱が干渉し合って送電容量が制限されやすいため、記述(3)が誤りとなります。

地中送配電線における熱放散と送電容量の関係

地中送配電線に電流が流れると、ジュールの法則により熱が発生します。ジュールの法則は、導体に電流 II [A] が時間 tt [s] の間流れたとき、導体の抵抗を RR [Ω\Omega] とすると、発生する熱量 QQ [J] が以下の式で表されるという物理法則です。

Q=I2RtQ = I^2 R t

この式が示すように、送電線に電流を流す限り、発熱(ジュール熱)を避けることはできません。発生した熱が外部へ速やかに放出されないと、ケーブルの温度は上昇し続けます。ケーブルを包む絶縁体には耐熱温度(許容温度)があり、これを超えると絶縁性能が急激に劣化し、最悪の場合は絶縁破壊事故に至ります。そのため、地中送配電線に流せる最大電流(送電容量)は、発生した熱をいかに効率よく周囲の土壌や大気へ逃がせるか、すなわち「熱放散の良さ」によって決定されます。

地中の布設方式には、主に直接埋設式、管路式、暗きょ式の3種類があり、それぞれ熱放散の仕組みや特性が異なります。

  • 直接埋設式(直埋式) ケーブルを直接砂や土壌で埋め戻す方式です。熱伝導率の低い空気層がなく、ケーブルが熱伝導性の比較的高い土壌に直接触れているため、熱放散は良好です。
  • 管路式 地中に埋設したコンクリート管や合成樹脂管の中にケーブルを通す方式です。ケーブルと管の内壁との間に「空気の隙間」が生じます。空気は極めて熱を伝えにくい(熱抵抗が大きい)ため、この空気層が断熱材のような役割を果たし、ジュール熱が周囲の土壌へ逃げるのを妨げます。そのため、3方式の中で最も熱放散が悪くなります。
  • 暗きょ式(洞道式) 地下にコンクリート製のトンネル(暗きょ)を構築し、その中に多数のケーブルを棚などに並べて布設する方式です。暗きょ内は広い空間があり、自然対流や送風機による強制換気が行えるため、発生した熱を空気の流れに乗せて効率よく外部へ放出できます。したがって、熱放散は極めて優れています。

地中送配電線の構造からみる熱特性と送電容量の判断

1. 各布設方式の構造と熱伝導経路の比較

直接埋設式はケーブルが土壌に密着しているのに対し、管路式は管内の空気層が熱を遮断するため、熱が周囲の土壌に逃げるのを妨げます。暗きょ式は広い空間での対流や換気を利用できるため、最も熱が逃げやすい構造です。この熱伝導経路の違いにより、熱放散性は「暗きょ式 > 直接埋設式 > 管路式」の順になります。

2. ケーブル条数の増加による熱的な相互干渉

管路式において、同一ルートに敷設するケーブルの条数(本数)を増やすと、それぞれのケーブルから発生するジュール熱が狭い範囲に集中します。管路式はもともと熱が逃げにくい構造であるため、隣接する管路同士で熱が干渉し合い、周囲の温度がさらに上昇しやすくなります。

3. 許容電流(送電容量)への制限の発生

ケーブルの温度を許容範囲内に抑えるためには、条数が増えるほど、1線あたりに流せる電流を低く抑えなければなりません。熱放散の悪い管路式では、条数の増加に伴う送電容量の低下(制限)が他の方式に比べて非常に顕著に現れます。したがって、「熱放散が良く、送電容量の制限を受けにくい」とする選択肢(3)の記述は、管路式の実際の性質とは逆になります。

4. その他の選択肢における特徴の整合性

直接埋設式は掘削して直接埋める単純な構造のため、工事費が安く工期が短くなります(選択肢1は正しい)。管路式は強固な管で守られているため外傷に強く、後からの引き替えや増設が容易です(選択肢2は正しい)。暗きょ式は地下トンネルを造るため莫大な建設費と長い工期が必要ですが(選択肢4は正しい)、内部に人が立ち入って安全に点検でき、多数のケーブルを整理して収容するのに適しています(選択肢5は正しい)。


地中に埋められた電線を取り巻く土、管、空気という異なる「熱の通り道」と、そこを流れる熱の動きを重ねてみると、電流を多く流せる布設方式とそうでない方式の違いが見えてきます。

参考リンク

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