第三種電気主任技術者試験 / 令和4年度第三種電気主任技術者下期試験 電力科目 / 各問題解説 / 問120
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令和4年度第三種電気主任技術者下期試験 電力科目 問120 解説 問12 問12

問12 次の文章は,配電線路の電圧調整に関する記述である。 配電線路より電力供給している需要家への供給電圧を適正範囲に維持するため,配電用変電所では, [ア] などによって,負荷変動に応じて変電所二次側母線電圧を調整している。高圧配電線路においては,柱上変圧器の [イ] によって低圧配電線路の電圧調整を行っていることが多い。また,高圧配電線路のこう長が長い場合や分散型電源が多く接続されている場合など,電圧変動が大きく,配電用変電所の [ア] や柱上変圧器の [イ] によっても供給電圧を許容範囲に抑えることが難しい場合は, [ウ] や,開閉器付電力用コンデンサなどを高圧配電線路に施設することがある。さらに,電線の [エ] によって電圧降下を軽減する対策をとることもある。 上記の記述中の空白箇所(ア)〜(エ)に当てはまる組合せとして,正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。

  1. (1) (ア)負荷時電圧調整器 / (イ)タップ調整 / (ウ)バランサ / (エ)細線化
  2. (2) (ア)計器用変成器 / (イ)取替 / (ウ)ステップ式自動電圧調整器 / (エ)細線化
  3. (3) (ア)負荷時電圧調整器 / (イ)タップ調整 / (ウ)ステップ式自動電圧調整器 / (エ)太線化 ✓ 正答
  4. (4) (ア)計器用変成器 / (イ)タップ調整 / (ウ)ステップ式自動電圧調整器 / (エ)細線化
  5. (5) (ア)負荷時電圧調整器 / (イ)取替 / (ウ)バランサ / (エ)太線化

解説

配電線路の電圧を適正範囲に維持するため、配電用変電所での負荷時電圧調整器による母線電圧の自動調整、柱上変圧器のタップ調整による低圧配電線路の電圧補正、長距離配電線や分散型電源の連系箇所で用いられるステップ式自動電圧調整器による局所的な電圧調整、および電線の太線化による線路抵抗の削減を組み合わせることから、選択肢(3)が正答となります。

配電線路における電圧降下と電圧調整の原理

配電系統では、変電所から送り出された電力が電線を通って需要家に届くまでの間に、電線の持つ抵抗やリアクタンスによって電圧降下が発生します。各需要家への供給電圧を電気事業法で定められた適正範囲(例えば100V供給では101±6V、200V供給では202±20V)に維持するためには、負荷の大きさに応じた適切な電圧調整が必要です。

この電圧降下を評価する上で基本となるのが、回路におけるオームの法則です。配電線路の1線当たりの抵抗を RR、リアクタンスを XX とし、負荷電流を II、負荷の力率を cos⁡θ\cos \theta とすると、受電端における電圧降下 vv は次の簡易式で表されます。

v=KI(Rcos⁡θ+Xsin⁡θ)v = K I (R \cos \theta + X \sin \theta)

ここで KK は配電方式による定数であり、単相2線式では2、三相3線式では 3\sqrt{3} となります。

この式から、電圧降下 vv を小さくするためには、線路抵抗 RR を小さくすることが有効であることがわかります。電線の抵抗 RR は、導体の抵抗率を ρ\rho、長さを ll、断面積を AA とすると次の関係にあります。

R=ρlAR = \rho \frac{l}{A}

このオームの法則の性質から、電線の断面積 AA を大きくする(太線化する)ことで抵抗 RR が減少し、電圧降下を根本的に抑制できることが導かれます。

また、線路の途中で能動的に電圧を調整するために、以下のような様々な電圧調整機器が用いられます。

  • 負荷時電圧調整器(LRT):変電所の主要変圧器に設けられ、負荷をかけたまま(電流を流したまま)タップを切り替えて、変電所二次側(配電線路の送り出し側)の電圧を一定に調整する装置です。
  • タップ調整:柱上変圧器の一次側(高圧側)巻線の巻き数比を切り替えることで、二次側(低圧側)の電圧基準値を調整します。一般に、無電圧状態のときに手動で切り替えて固定します。
  • ステップ式自動電圧調整器(SVR):長距離の配電線路などで、末端の電圧降下や分散型電源による電圧上昇を補正するため、線路の途中に設置される自動変圧器です。負荷をかけた状態のまま、ステップ状にタップを自動切り替えして電圧を調整します。

配電系統における各対策の適用

  1. 変電所送り出し口における自動調整 配電用変電所では、1日のうちで大きく変動する全体の負荷に対応して、配電線全体の出発点となる母線電圧を動的に維持する必要があります。負荷を遮断することなく連続的に電圧を調整するため、変電所の変圧器に組み込まれた負荷時電圧調整器(LRT)が使用されます。計器用変成器は電圧や電流を測定するためのセンサであり、調整機能はないため、[ア]には負荷時電圧調整器が入ります。

  2. 需要家直前における低圧電圧の調整 各需要家に電力を引き込む手前にある柱上変圧器では、設置されている地区の電圧の偏りに合わせて、あらかじめ出力電圧の基準を合わせておく必要があります。これには、変圧比を静的に変更するタップ調整が用いられます。変圧器の取替は設備容量の変更などの際に行う大がかりな工事であり、個別の通常電圧調整手段としては不適切であるため、[イ]にはタップ調整が入ります。

  3. 配電線路の途中における局所的な電圧調整 配電線路のこう長が非常に長い場合や、太陽光発電などの分散型電源が多数接続されて局所的な電圧上昇が起きる場合、変電所の負荷時電圧調整器(LRT)や柱上変圧器のタップ調整だけでは、線路全体の電圧を許容範囲内に収めることができません。このような電圧変動が著しい箇所には、配電線路の途中で自動的に電圧を上下させるステップ式自動電圧調整器(SVR)を設けます。バランサは単相3線式線路の不平衡を解消するための機器であり、高圧配電線路全体の電圧ステップ調整には用いられないため、[ウ]にはステップ式自動電圧調整器が入ります。

  4. 線路インピーダンスの低減による物理的な降下対策 機器による電気的な電圧調整だけでなく、電線そのものの電気抵抗を小さくすることで、電流が流れた際の電圧降下そのものを小さくする設計上の対策を施します。電線の断面積を大きくして抵抗を減らす太線化がこの対策に該当します。細線化するとかえって抵抗が増加し、電圧降下が拡大してしまうため、[エ]には太線化が入ります。

変電所から出発して各家庭へ届くまでの配電系統の構成図と、電気の流れに伴って発生する電圧降下のグラフを重ね合わせてみると、それぞれの機器がどの場所で電圧を持ち上げ、適正な範囲に維持しているのかが視覚的に見えてきます。

参考リンク

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