第三種電気主任技術者試験 / 令和4年度第三種電気主任技術者下期試験 電力科目 / 各問題解説 / 問20
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令和4年度第三種電気主任技術者下期試験 電力科目 問20 解説 問2 問2

問2 次の文章は,水車に関する記述である。 水圧管の先端がノズルになっていると,有効落差は全て [(ア)] エネルギーとなり,水は噴流となって噴出し,ランナのバケットにあたってランナを回転させる。このような水の力で回転する水車を [(イ)] 水車という。 代表的なものとして [(ウ)] 水車があり, [(エ)] で,流量の比較的少ない場所に用いられ,比速度は [(オ)] 。 上記の記述中の空白箇所(ア)~(オ)に当てはまる組合せとして,正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

  1. (1) (ア):運動 / (イ):衝動 / (ウ):ペルトン / (エ):高落差 / (オ):大きい
  2. (2) (ア):圧力 / (イ):反動 / (ウ):フランシス / (エ):低落差 / (オ):大きい
  3. (3) (ア):位置 / (イ):反動 / (ウ):カプラン / (エ):高落差 / (オ):大きい
  4. (4) (ア):圧力 / (イ):衝動 / (ウ):フランシス / (エ):低落差 / (オ):小さい
  5. (5) (ア):運動 / (イ):衝動 / (ウ):ペルトン / (エ):高落差 / (オ):小さい ✓ 正答

解説

水圧管の先端ノズルから噴き出す水流が持つ運動エネルギーによってランナを回転させる水車は衝動水車と呼ばれ、その代表例であるペルトン水車は高落差・少流量の地点に適しており、比速度が小さいという特徴を持つことから、正答は(5)となります。

水車の分類とエネルギー変換の基本原理

水力発電で用いられる水車は、水が持つエネルギーを回転力(機械的エネルギー)に変換する機械です。水車の動作原理を理解する上で重要となるのが、流体のエネルギー保存則を表すベルヌーイの定理です。

ベルヌーイの定理は、流体の位置エネルギー、圧力エネルギー、そして運動エネルギーの総和が、損失を無視すれば常に一定に保たれることを示しています。水車はこの3つのエネルギーをどのように利用するかによって、大きく衝動水車と反動水車の2つに分類されます。

衝動水車は、水圧管を通ってきた高圧の水をノズルから大気中に噴出させることで、水の持つ位置エネルギー(有効落差)をすべて運動エネルギー(噴流の速度)へと変換します。この高速の噴流をランナ(羽根車)のバケット(羽根)に衝突させ、その衝撃力(衝動)によってランナを回転させます。水車が回る空間は大気中に開放されているため、水車内部で圧力の変化は利用しません。

一方、反動水車は、水の圧力エネルギーと運動エネルギーの両方を利用します。ランナが水で満たされた流路(ケーシング)の中にあり、水をブレード(羽根)の間に流し込む際の圧力変化(反動)によって回転力を得ます。

比速度の概念と水車選定の基準

水車の特性を表す重要な指標に比速度があります。比速度とは、ある水車と幾何学的に相似な水車を、1メートルの有効落差で動作させて1キロワットの出力を発生させると仮定したときの回転速度(毎分回転数)のことです。

比速度の式は、水車の定格回転速度を NN、出力を PP、有効落差を HH とすると、次のように定義されます。

ns=N×P1/2×H−5/4n_s = N \times P^{1/2} \times H^{-5/4}

この式からわかるように、比速度 nsn_s は有効落差 HH の 5/4 乗に反比例します。つまり、高い落差を利用する水車ほど比速度は小さくなり、低い落差を利用する水車ほど比速度は大きくなります。

水車はその構造ごとに、効率よく運転できる比速度の範囲(適用限界)があらかじめ決まっています。ペルトン水車のように少量の水をノズルから噴射して高落差で回す水車は、比速度が極めて小さくなります。逆に、落差が低く大量の水を流すカプラン水車(プロペラ型)などは、比速度が非常に大きくなります。

水車選定における各パラメータの決定

  1. ノズルにおけるエネルギーの変換を捉える 水圧管の先端にあるノズルから水が勢いよく噴き出すとき、水が持っていた圧力(有効落差)はすべて速度、すなわち運動エネルギーへと変換されます。大気中へ噴出する瞬間に圧力は開放されて大気圧と等しくなるため、ノズルから出た水が持っているのは純粋な運動エネルギーです。したがって、(ア)には運動が入ります。

  2. ランナの回転原理から水車の種類を見極める ノズルから勢いよく噴き出した水(噴流)が、ランナのバケットに衝突してその衝撃力によって回転させる仕組みの水車は衝動水車です。圧力を利用する反動水車とは対照的な性質を持ちます。したがって、(イ)には衝動が入ります。

  3. 代表的な水車と落差・流量の条件を組み合わせる 衝動水車の代表例はペルトン水車です。ペルトン水車は、ノズルから水を細い束にして噴射するため、流量が比較的少ない場所で、かつ水圧を高く取れる高落差の発電所に適しています。選択肢にあるフランシス水車やカプラン水車は反動水車に分類されるため不適合です。これにより、(ウ)にはペルトン、(エ)には高落差が入ります。

  4. 比速度の大小を判定する ペルトン水車は高落差・少流量で使用されるため、比速度の定義式(有効落差 HH の 5/4 乗に反比例する)に基づくと、比速度は小さい値になります。比速度が小さいということは、同じ出力を得るために必要な落差が大きいことを意味しており、ペルトン水車の物理的な特性と一致します。したがって、(オ)には小さいが入ります。

ペルトン水車のバケットの形状や、そこに水を吹き付けるノズルの位置関係に意識を向けてみると、高落差から一気に加速された噴流がどのように水車を回すのか、その力の伝わり方が見えてきます。

参考リンク

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