令和4年度第三種電気主任技術者下期試験 理論科目 問10 解説 問1 問1
問1 図に示すように, 誘電率ε0 [F/m]の真空中に置かれた二つの静止導体球A及びBがある。電気量はそれぞれQA [C]及びQB [C]とし, 図中にその周囲の電気力線が描かれている。電気量QA=16ε0 [C]であるとき, 電気量QB [C]の値として, 正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
- 16ε0
- 8ε0
- -4ε0
- -8ε0 ✓ 正答
- -16ε0
解説
図中に描かれた電気力線の矢印の向きから電荷Aが正電荷、電荷Bが負電荷であることが分かります。また、電気力線の本数が電気量に比例するという法則を適用し、電荷Aから出る電気力線の総本数と電荷Bに入る電気力線の本数を数えることで、与えられた の値から は [C] であると判断できます。
電気力線とその性質
電気力線とは、電界の向きと大きさを視覚的に表すための仮想的な線のことです。この問題のように、電気力線の図が与えられた場合、以下の重要な性質を理解しておくことで、電荷の性質や関係を判断することができます。
- 電気力線の向きと電荷の符号: 電気力線は正電荷からは出て、負電荷には入るという性質を持っています。これにより、電気力線の矢印の向きを見るだけで、その電荷が正電荷か負電荷かを判別できます。図中で電気力線がどこから出ているか、どこへ向かっているかを確認することが最初のステップとなります。
- 電気力線の本数と電気量の関係: 電気力線のもう一つの重要な性質は、その本数が、発生源となる電気量の大きさに比例するという点です。厳密には、真空中の電気量 [C] から出る(または入る)電気力線の総本数は 本として定義されます。ここで [F/m] は真空の誘電率です。 この問題の図では、電気力線が離散的に描かれていますが、これは電気力線の本数を数えることで、電荷の絶対的な大きさや、複数の電荷間の相対的な大きさを判断できることを意味しています。
この電気力線の本数と電気量の比例関係は、電磁気学の基本的な法則であるガウスの法則の考え方にも通じるものです。ガウスの法則は、ある閉曲面を貫く電気力線の総本数(または電束の総量)が、その閉曲面内に含まれる電気量に比例するという原理を示しています。
設問の条件と電気力線の観察から電気量を求める
設問で与えられた条件と、図中の電気力線の性質を上記の法則に当てはめて、 の値を求めます。
電荷Aの電気量と電気力線の対応の確認 問題文より、電荷Aの電気量 [C] と与えられています。 図を見ると、電荷Aからは電気力線が外側に向かって出ています。これは、電気力線の性質からAが正電荷であることを示しています。 次に、Aから出ている電気力線の総本数を数えます。図中のAから出てBへ向かう電気力線が8本、Aからそのまま空間へ広がっていく電気力線が8本あります。これらを合計すると、Aから出ている電気力線は全部で16本です。 [C] に対して16本の電気力線が描かれていることから、この図では [C] の電気量につき1本の電気力線が対応するように描かれていると考えることができます。
電荷Bの電気量の判断 次に電荷Bに着目します。図では、電気力線が電荷Bに吸い込まれるように入っています。これは、電気力線の性質からBが負電荷であることを示しています。 Bに入っている電気力線の本数を数えると、AからBへ向かっている8本です。ステップ1で確認した電気量と電気力線の対応関係( [C] あたり1本)を適用すると、Bの電気量の絶対値は [C] と判断できます。 電荷Bは負電荷であるため、電気量 は符号を考慮して [C] となります。 したがって、選択肢(4)が正しい値です。
図中に描かれた電気力線の矢印の向きと本数を注意深く見比べてみると、電荷Aが持つ電気量の情報から、電荷Bの符号とそれぞれの電気量の関係が明確に見えてきます。