第三種電気主任技術者試験 / 令和4年度第三種電気主任技術者下期試験 理論科目 / 各問題解説 / 問130
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令和4年度第三種電気主任技術者下期試験 理論科目 問130 解説 問13 大問13

設問図

問13 図1は、正弦波を出力しているある発振回路の構造を示している。この発振回路の帰還回路の出力端子と増幅回路の入力端子との接続を切り離し、図2のような適当な周波数の正弦波を帰還回路に入力すると、次の二つの条件が同時に満たされている。 1. 増幅回路の入力電圧 $V_i$ と帰還回路の出力電圧 $V_f$ が (ア) である。 2. 帰還回路の増幅度 $\frac{V_f}{V_i}$ を $A$, 帰還回路の帰還率 $\frac{V_f}{V_a}$ を $\beta$ と表すとき、(イ) である。 図1で示される発振回路は、条件1より (ウ) 回路である。

  1. 同相, $A\beta=1$, 正帰還 ✓ 正答
  2. 逆相, $A\beta \ge 1$, 負帰還
  3. 同相, $A\beta < 1$, 正帰還
  4. 逆相, $A\beta \ge 1$, 負帰還
  5. 同相, $A\beta < 1$, 正帰還

解説

発振回路では、増幅回路の出力が帰還回路を通して入力に戻される際に、信号の位相が同相であり、かつ増幅率と帰還率の積が1であるという二つの条件が満たされると、外部からの入力がなくても発振が持続します。この問題では、図1の構造と図2での実験条件から、これらの条件がどのように適用されるかを判断します。

発振回路の条件

発振回路が発振を継続するためには、バークハウゼンの安定発振条件を満たす必要があります。この条件は、信号が発振回路内を一周して元の入力点に戻ってきたときに、増幅と位相変化を考慮した結果、元の信号と同じ位相で、かつ元の信号と同じ大きさになることを意味します。具体的には、以下の二つの条件が同時に成立する必要があります。

  1. 利得条件: 増幅回路の利得 AA と帰還回路の帰還率 β\beta の積が1以上であること。つまり、∣Aβ∣≥1|A\beta| \ge 1 です。発振を開始するためには、この積が1より大きい必要がありますが、発振が安定すると、利得がわずかに低下して ∣Aβ∣=1|A\beta| = 1 になるように動作します。
  2. 位相条件: 信号が帰還回路を一周する間に、全体として 00 度(または 360360 度、 720720 度など)の位相変化(つまり同相)であること。

問題の条件と図からの判断

問題文では、図1の構造を切り離し、図2のような外部信号を入力したときの二つの条件が与えられています。

  1. 増幅回路の入力電圧 ViV_i と帰還回路の出力電圧 VfV_f が (ア) である。 図2において、増幅回路の入力端子には信号源 ViV_i が接続され、帰還回路の出力端子には VfV_f が示されています。この ViV_i と VfV_f の関係が問われています。図1の本来の発振回路では、増幅回路の出力 VoV_o が帰還回路に入力され、その帰還回路の出力 VfV_f が増幅回路の入力 ViV_i に接続されます。発振が起こるためには、この帰還信号 VfV_f が増幅回路の入力 ViV_i と同相である必要があります。したがって、(ア) には「同相」が入ります。

  2. 帰還回路の増幅度 VfVi\frac{V_f}{V_i} を AA, 帰還回路の帰還率 VfVa\frac{V_f}{V_a} を β\beta と表すとき、(イ) である。 ここで、問題文の定義が少し紛らわしいですが、「増幅回路の増幅度」を AA、「帰還回路の帰還率」を β\beta と定義しています。一般的に、増幅器の利得を AA、帰還回路の利得(または減衰率)を β\beta としたとき、発振条件は Aβ=1A\beta = 1(複素数として考えると、振幅が1、位相が0度)となります。 問題文の定義では、「増幅回路の増幅度」は文字通り増幅回路自体の入力から出力までの増幅率であり、これを AA とします。一方、「帰還回路の帰還率」は、帰還回路の入力(増幅回路の出力 VoV_o)から出力(増幅回路の入力 ViV_i に相当する信号)までの比率であり、これを β\beta とします。 発振回路全体でのループ利得は、増幅回路の利得 AA と、帰還回路の利得(帰還率 β\beta)の積で表されます。発振が持続するための条件は、このループ利得が1であることです。つまり、Aβ=1A\beta = 1 となります。

  3. 図1で示される発振回路は、条件1より (ウ) 回路である。 発振回路は、信号を増幅し、その一部を適切な位相で入力に戻すことで発振を起こします。この「信号を戻す」という動作が「帰還」です。帰還には、信号を増幅する方向(正帰還)と、信号を抑制する方向(負帰還)があります。発振回路では、信号が継続的に増加するためには、増幅された信号が入力信号と同じ位相で戻ってくる必要があります。これは、信号を「正しく」帰還させていると解釈でき、正帰還回路となります。負帰還は、信号の安定化やノイズ低減に用いられることが多く、通常は発振を抑制する方向に働きます。

以上の判断から、(ア)は「同相」、(イ)は「Aβ=1A\beta=1」、(ウ)は「正帰還」となります。 選択肢を確認すると、「同相, Aβ=1A\beta=1, 正帰還」が正解となります。

図1と図2の接続関係を注意深く確認することで、増幅回路の出力が帰還回路の入力に、帰還回路の出力が増幅回路の入力に接続されていることがわかります。これは、信号が回路内を一周して元に戻ってくる、典型的な帰還回路の構成です。

参考リンク

図1の増幅回路の出力と帰還回路の入出力、および図2における信号源 ViV_i と帰還回路の出力 VfV_f の接続点に注目すると、位相関係や帰還の形態がより明確になります。

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