令和4年度第三種電気主任技術者下期試験 理論科目 問181 解説 問18(a) 大問18
問18(a) 図1の回路は、電流帰還バイアス回路に結合容量を介して、微小な振幅の交流電圧を加えている。この入力電圧 $v_i(t)$ の振幅が $A_i = 100$ mV、角周波数が $\omega = 10 000$ rad/s で、時刻 $[s]$ に対して $v_i(t) [mV]$ が $A_i \sin \omega t$ と表されるとき、次の(a)及び(b)の間に答えよ。 (a) 次の文章は、電圧 $v_{\text{B}}(t)$ に関する記述である。 トランジスタのベース端子に流れ込む電流 $i_{\text{B}}(t)$ が十分に小さいとき、ベース端子を切り離しても $2 \text{k}\Omega$ の抵抗の電圧変化は変化しない。そこで、図2の回路で考え、さらに重ね合わせの理を用いることで、電圧 $v_{\text{B}}(t)$ を求める。まず、$v_i(t) = 0 \text{V}$ とすることで、直流電圧 $V_{\text{B}} = \boxed{?}$ V が求められる。次に、直流電圧の値
- 0.7
- 0.8
- 1.5
- 1.5 ✓ 正答
- 1.5
解説
図2の回路において、交流入力 かつベース電流 としたとき、直流電源 が と の抵抗によって分圧されることで、直流電圧 は となります。
分圧の法則と直流動作の考え方
直流回路において、複数の抵抗が直列に接続されている場合、各抵抗に加わる電圧の大きさは抵抗値の比率に比例して分配されます。これを分圧の法則と呼びます。
回路の中にコンデンサが存在する場合、直流電流に対してコンデンサは電流を流さない遮断状態(開路状態)として機能します。これは、コンデンサの交流に対する抵抗成分(インピーダンス)が、周波数が である直流に対して無限大になるためです。したがって、直流バイアス状態を解析する際には、コンデンサを取り除いた回路として考えることができます。
また、閉回路に加わる電源電圧の総和と、各抵抗で発生する電圧降下の総和が等しくなるというキルヒホッフの第2法則に基づくと、直列回路全体の抵抗 に対する目的の抵抗 の割合を電源電圧 に掛けることで、特定の箇所における電位を求めることができます。本問ではトランジスタのベース端子へ流れ込む電流が十分に小さく無視できるため、ベース接続部の分岐による電圧への影響を考慮せずに分圧の法則をそのまま適用できます。
直流バイアス電圧 の導出
直流成分に対する回路状態を整理します。 の直流解析では、結合コンデンサ は開路として扱えるため、左側の入力電源部は切り離されます。また、問題文の指示によりベース電流 とみなせるため、トランジスタのベース端子へ流れる電流も無視できます。この結果、直流電源 に対して と の2つの抵抗が直列に接続された一本の電流経路だけが残ります。
分圧の法則を適用して の抵抗の両端電圧を計算します。全電源電圧 が と に加わっているため、ベース電位 は分圧の式から次のように求まります。
この導出結果より、空欄(ア)に当てはまる数値は となります。
直流電源 から伸びる回路をたどり、 と の抵抗の接続点に注目してみると、トランジスタのベースに固定の直流電圧が供給される仕組みが見えてきます。