第三種電気主任技術者試験 / 令和4年度第三種電気主任技術者下期試験 理論科目 / 各問題解説 / 問50
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令和4年度第三種電気主任技術者下期試験 理論科目 問50 解説 問5 問5

設問図

問5 図のような直流回路において、抵抗 3 Ω の端子間の電圧が 1.8 V であった。このとき、電源電圧 E [V] の値として、最も近いものを次の (1) ~ (5) のうちから一つ選べ。

  1. (1) 1.8
  2. (2) 3.6
  3. (3) 5.4 ✓ 正答
  4. (4) 7.2
  5. (5) 10.4

解説

抵抗 3 Ω の端子間電圧が 1.8 V であるという条件から、回路全体の電源電圧 E は 5.4 V と求められます。

キルヒホッフの法則

この回路のように複数の抵抗や電源を含む回路の電流や電圧を解析する際に、キルヒホッフの法則が用いられます。キルヒホッフの法則には、「電流則」と「電圧則」の二つがあります。

  • キルヒホッフの電流則(KCL): 回路のある節点(枝線が集まる点)に流れ込む電流の総和と、そこから流れ出す電流の総和は等しいという法則です。これは電荷保存則に基づいています。
  • キルヒホッフの電圧則(KVL): 回路の任意の閉回路(ループ)において、各要素にかかる電圧の代数和はゼロであるという法則です。これはエネルギー保存則に基づいています。

この問題では、抵抗にかかる電圧と電源電圧の関係を調べるために、キルヒホッフの電圧則が特に重要となります。

回路の解析手順

  1. 電流の向きを設定する: 回路図上に、各部分を流れる電流の向きを仮定します。電源の正極から負極へ向かう向きを電流の正の向きとすることが一般的ですが、仮定した向きが間違っていても、計算結果でマイナス符号となって現れるため、最終的な結果に影響はありません。
  2. キルヒホッフの電圧則を適用する: 回路内の閉回路を一つ選び、仮定した電流の向きに沿って電圧の増減を追っていきます。電源電圧は、低電位側から高電位側へ進む場合にプラス、高電位側から低電位側へ進む場合にマイナスとして扱います。抵抗にかかる電圧は、電流の向きに沿って進む場合にマイナス(電圧降下)、電流の向きと逆向きに進む場合にプラスとして扱います。これらの和がゼロになるように方程式を立てます。
  3. オームの法則を適用する: 抵抗 RR に電流 II が流れるとき、抵抗にかかる電圧 VV は V=IRV = IR で与えられます(オームの法則)。この関係を用いて、未知の電流を抵抗値と電圧で表します。
  4. 連立方程式を解く: 上記の手順で得られた方程式を連立させて解き、未知の電流や電圧を求めます。

問題への適用

この問題では、図の回路にキルヒホッフの法則を適用して電源電圧 EE を求めます。

1. 電流の向きの設定と節点(ノード)の定義

回路図を観察し、主要な節点(電流が分かれる点)を定義します。図の左側の節点をA、中央の節点をB、右側の節点をCとします。電源電圧 EE の正極側から回路へ流れ込む電流を I1I_1、抵抗 3 Ω を流れる電流を I2I_2 と仮定します。

2. 抵抗 3 Ω の端子間電圧から電流を特定する

抵抗 3 Ω の端子間の電圧が 1.8 V であるという条件が与えられています。オームの法則 V=IRV = IR より、この抵抗に流れる電流 I2I_2 は次のように求められます。 I2=VR=1.8 V3Ω=0.6 AI_2 = \frac{V}{R} = \frac{1.8 \text{ V}}{3 \Omega} = 0.6 \text{ A}

3. 各部分の電流を特定する

  • 節点C: 電流 I2I_2 が抵抗 3 Ω を流れて節点Cに到達し、その後、電源の負極側へ戻ると考えられます。したがって、抵抗 3 Ω を流れる電流 I2I_2 は、節点Cから電源へ向かう電流となります。
  • 節点B: 節点Bには、抵抗 4 Ω と 5 Ω が接続されています。仮に、電源から流れてきた電流 I1I_1 が節点Aで分流し、一部が 4 Ω と 8 Ω の並列部分へ、残りが 5 Ω と 10 Ω の並列部分へ流れるとします。さらに、5 Ω と 10 Ω の並列部分を流れた電流が、抵抗 3 Ω へ合流すると考えられます。
  • 図の矢印: 図に示されている 1.8 V の電圧は、抵抗 3 Ω にかかっている電圧であり、その向きは右側が高電位、左側が低電位となっています。これは、電流 I2I_2 が左から右へ流れていることを示唆しています。

4. 回路の左側の並列部分の合成抵抗を求める

抵抗 4 Ω と 8 Ω は並列接続されています。合成抵抗 R48R_{48} は以下のようになります。 R48=4Ω×8Ω4Ω+8Ω=32Ω212Ω=83ΩR_{48} = \frac{4 \Omega \times 8 \Omega}{4 \Omega + 8 \Omega} = \frac{32 \Omega^2}{12 \Omega} = \frac{8}{3} \Omega

抵抗 5 Ω と 10 Ω も並列接続されています。合成抵抗 R5 10R_{5\,10} は以下のようになります。 R5 10=5Ω×10Ω5Ω+10Ω=50Ω215Ω=103ΩR_{5\,10} = \frac{5 \Omega \times 10 \Omega}{5 \Omega + 10 \Omega} = \frac{50 \Omega^2}{15 \Omega} = \frac{10}{3} \Omega

5. 回路の左側の2つの並列部分が直列に接続されていると考える

左側の (4 Ω // 8 Ω) の部分と、中央の (5 Ω // 10 Ω) の部分(これらは並列ではなく、直列に接続されているように見えます)を流れる電流を考えます。 図の左側の節点Aから、電流 IAI_A が流れ込み、4 Ω と 8 Ω の並列回路に分流し、その後、中央の節点Bで合流します。 そして、節点Bから電流 IBI_B が流れ込み、5 Ω と 10 Ω の並列回路に分流し、その後、節点Cで合流します。 節点Cでは、抵抗 3 Ω を流れてきた電流 I2I_2 と合流し、電源へ戻ります。

6. キルヒホッフの電圧則を適用する

電源 EE を含む閉回路に着目します。 電源の正極から出発し、右回りに回路を一周すると考えます。 E−V4Ω−V5Ω−V3Ω=0E - V_{4\Omega} - V_{5\Omega} - V_{3\Omega} = 0 (ここで、V4ΩV_{4\Omega} は 4 Ω の抵抗にかかる電圧、V5ΩV_{5\Omega} は 5 Ω の抵抗にかかる電圧、V3ΩV_{3\Omega} は 3 Ω の抵抗にかかる電圧とします。この表記は回路の複雑さから直接適用が難しいです。)

より現実的なアプローチとして、回路をいくつかの部分に分けて考えます。 まず、抵抗 3 Ω を流れる電流 I2=0.6 AI_2 = 0.6 \text{ A} であることは確定しています。 この電流 I2I_2 は、節点Cで、抵抗 5 Ω と 10 Ω の並列回路を流れた電流と合流しています。 しかし、5 Ω と 10 Ω の並列回路に流れる電流を直接求めるのは難しいです。

7. 図に示された 1.8 V の情報と節点電圧の関係を利用する

図に示された 1.8 V は、抵抗 3 Ω の端子間電圧です。この電圧が、抵抗 3 Ω の左側端子と右側端子の電位差を示しています。 また、抵抗 3 Ω は、中央の節点Bと、一番右側の節点(電源の負極側と接続されている点)の間に接続されています。 つまり、抵抗 3 Ω の右側端子と、電源の負極側端子は同じ電位であると考えることができます。 したがって、抵抗 3 Ω の左側端子の電位を VBV_B とすると、VB−0=1.8 VV_B - 0 = 1.8 \text{ V} となります。 (ここでは、電源の負極側を基準電位 0 V と仮定しています。) このことから、中央の節点Bの電位が 1.8 V であることがわかります。

8. 中央の並列回路(5 Ω // 10 Ω)の電圧降下を計算する

節点Bの電位が 1.8 V であり、節点C(抵抗 3 Ω の右側端子)は電源の負極側と接続されているため、電位は 0 V です。 したがって、抵抗 3 Ω にかかる電圧は 1.8 V であり、これは問題の条件と一致します。 ここで、抵抗 5 Ω と 10 Ω の並列回路全体にかかる電圧は、節点Bと節点Cの間の電位差、すなわち 1.8 V であると解釈できます。

9. 並列回路を流れる電流を計算する

抵抗 5 Ω と 10 Ω の並列回路の合成抵抗 R5 10R_{5\,10} は 103Ω\frac{10}{3} \Omega でした。 この並列回路全体にかかる電圧が 1.8 V なので、この並列回路に流れ込む電流 I5 10I_{5\,10} は以下のようになります。 I5 10=1.8 VR5 10=1.8 V103Ω=1.8×310 A=5.410 A=0.54 AI_{5\,10} = \frac{1.8 \text{ V}}{R_{5\,10}} = \frac{1.8 \text{ V}}{\frac{10}{3} \Omega} = 1.8 \times \frac{3}{10} \text{ A} = \frac{5.4}{10} \text{ A} = 0.54 \text{ A}

10. 電源電圧 EE を計算する

電源 EE から流れる電流 I1I_1 は、4 Ω と 8 Ω の並列回路を流れた電流と、5 Ω と 10 Ω の並列回路を流れた電流の和になります。 しかし、この問題では、電源 EE の正極から流れてきた電流が、まず 4 Ω と 8 Ω の並列回路に入り、その後、5 Ω と 10 Ω の並列回路を通って 3 Ω へ流れるという回路構成になっています。 つまり、回路の左側の 4 Ω // 8 Ω の部分と、中央の 5 Ω // 10 Ω の部分、そして右側の 3 Ω は、直列に接続されているわけではなく、分岐と合流を繰り返しています。

再考:回路の接続を正しく解釈する

回路図を再度確認します。 電源 EE から出た電流は、左側の節点Aに到達します。 節点Aで、電流は 4 Ω と 8 Ω の並列回路に分かれます。 これらの 4 Ω と 8 Ω の抵抗を流れた電流は、中央の節点Bで合流します。 節点Bからは、電流は 5 Ω と 10 Ω の並列回路に分かれます。 これらの 5 Ω と 10 Ω の抵抗を流れた電流は、節点Cで合流します。 節点Cからは、抵抗 3 Ω を経由して、電源の負極側へ戻ります。

11. 節点Bの電位と、 5 Ω // 10 Ω 並列回路の電圧

抵抗 3 Ω の端子間電圧が 1.8 V で、その右端が電源の負極(0 V)に接続されているとすると、抵抗 3 Ω の左端子、すなわち節点Cの電位は 1.8 V です。 (問題文の図の 1.8 V の矢印は、抵抗 3 Ω の両端にかかる電圧を示しており、その電位差は 1.8 V です。この 1.8 V という数値が、抵抗 3 Ω の両端の電位差を示しているのであり、節点Bの電位そのものを指しているわけではありません。)

12. キルヒホッフの電圧則を適用する(別のアプローチ)

回路全体を一つの閉回路として捉え、キルヒホッフの電圧則を適用します。 回路の左側の節点A、中央の節点B、右側の節点Cを定義します。 電源 EE から流れる電流を II とします。 この電流 II は、節点Aで I4ΩI_{4\Omega} と I8ΩI_{8\Omega} に分流します。 I=I4Ω+I8ΩI = I_{4\Omega} + I_{8\Omega} 節点Bで I4ΩI_{4\Omega} と I8ΩI_{8\Omega} は合流し、電流 II が流れます。 節点Bから、電流は I5ΩI_{5\Omega} と I10ΩI_{10\Omega} に分流します。 I=I5Ω+I10ΩI = I_{5\Omega} + I_{10\Omega} 節点Cで I5ΩI_{5\Omega} と I10ΩI_{10\Omega} は合流し、抵抗 3 Ω を流れる電流 I3ΩI_{3\Omega} となります。 I3Ω=II_{3\Omega} = I (左側の回路全体を流れる電流と、右側の 3 Ω を流れる電流は等しいと仮定できる) 問題の条件は、抵抗 3 Ω の端子間電圧が 1.8 V であることです。 したがって、I3Ω=1.8 V3Ω=0.6 AI_{3\Omega} = \frac{1.8 \text{ V}}{3 \Omega} = 0.6 \text{ A} となります。 つまり、回路全体を流れる電流 I=0.6 AI = 0.6 \text{ A} です。

13. 各抵抗にかかる電圧を計算する

  • 4 Ω と 8 Ω の並列回路: 合成抵抗 R48=83ΩR_{48} = \frac{8}{3} \Omega です。この部分に流れる電流は I=0.6 AI = 0.6 \text{ A} です。したがって、この並列回路にかかる電圧 V48V_{48} は以下のようになります。 V48=I×R48=0.6 A×83Ω=610×83 V=210×8 V=1.6 VV_{48} = I \times R_{48} = 0.6 \text{ A} \times \frac{8}{3} \Omega = \frac{6}{10} \times \frac{8}{3} \text{ V} = \frac{2}{10} \times 8 \text{ V} = 1.6 \text{ V}

  • 5 Ω と 10 Ω の並列回路: 合成抵抗 R5 10=103ΩR_{5\,10} = \frac{10}{3} \Omega です。この部分に流れる電流も I=0.6 AI = 0.6 \text{ A} です。したがって、この並列回路にかかる電圧 V5 10V_{5\,10} は以下のようになります。 V5 10=I×R5 10=0.6 A×103Ω=610×103 V=2 VV_{5\,10} = I \times R_{5\,10} = 0.6 \text{ A} \times \frac{10}{3} \Omega = \frac{6}{10} \times \frac{10}{3} \text{ V} = 2 \text{ V}

14. 電源電圧 EE を計算する

電源 EE は、回路の左側の並列部分、中央の並列部分、および右側の抵抗 3 Ω の電圧降下の合計となります。 E=V48+V5 10+V3ΩE = V_{48} + V_{5\,10} + V_{3\Omega} E=1.6 V+2 V+1.8 VE = 1.6 \text{ V} + 2 \text{ V} + 1.8 \text{ V} E=5.4 VE = 5.4 \text{ V}

したがって、電源電圧 EE の値は 5.4 V です。

参考リンク

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