令和4年度第三種電気主任技術者下期試験 理論科目 問60 解説 問6 問6
問6
電圧 E [V] の直流電源と静電容量 C [F] の二つのコンデンサを接続した図1、図2 のような二つの回路に関して、誤っているもの次の (1) ~ (5) のうちから一つ選べ。
- 図1 の回路の合成静電容量は、図2 の回路の4倍である。
- コンデンサ全体に蓄えられる電界のエネルギーは、図1 の回路の方が図2 の回路よりも大きい。
- 図2 の回路に、さらに静電容量 C [F] のコンデンサを直列に二つ追加して、四つのコンデンサが直列になるようにすると、コンデンサ全体に蓄えられる電界のエネルギーが図1 と等しくなる。 ✓ 正答
- 図2 の回路の電源電圧を2倍にすると、コンデンサ全体に蓄えられる電界のエネルギーが図1 の回路と等しくなる。
- 図1 のコンデンサー一つ当たりに蓄えられる電荷は、図2 のコンデンサー一つ当たりに蓄えられる電荷の2倍である。
解説
問60:コンデンサ回路の比較における誤り
正答は「図2の回路に、さらに静電容量C[F]のコンデンサを直列に二つ追加して、四つのコンデンサが直列になるようにすると、コンデンサ全体に蓄えられる電界のエネルギーが図1と等しくなる。」です。この選択肢が誤りである理由は、追加後の回路のエネルギーが図1の回路のエネルギーと等しくならないためです。
コンデンサの合成静電容量と蓄積エネルギー
コンデンサ回路の性質を理解するためには、合成静電容量の計算方法と、コンデンサに蓄えられる電界のエネルギーの公式が重要になります。
1. 合成静電容量
- 並列接続: 複数のコンデンサが並列に接続されている場合、合成静電容量 Ctotal は各コンデンサの静電容量 C1,C2,… の和になります。
Ctotal=C1+C2+…
- 直列接続: 複数のコンデンサが直列に接続されている場合、合成静電容量 Ctotal は、各コンデンサの静電容量の逆数の和の逆数になります。
Ctotal1=C11+C21+…
2つのコンデンサ C1,C2 が直列の場合、Ctotal=C1+C2C1C2 となります。
2. コンデンサに蓄えられる電界のエネルギー
コンデンサに蓄えられる電界のエネルギー W は、以下のいずれかの式で表されます。
W=21CV2=21CQ2=21QV
ここで、C は静電容量 [F]、V は電圧 [V]、Q は電荷 [C] です。
各選択肢の検討
問題文の図1と図2の回路、および各選択肢について、上記の法則を用いて判断していきます。
図1の回路:
- 2つのコンデンサ C [F] が並列に接続されています。
- 合成静電容量 C1,total=C+C=2C [F]
- コンデンサ全体に蓄えられるエネルギー W1=21C1,totalE2=21(2C)E2=CE2 [J]
- 各コンデンサに蓄えられる電荷 Q1,each=CE [C] (並列なので電源電圧 E がそのままかかります)
図2の回路:
- 2つのコンデンサ C [F] が直列に接続されています。
- 合成静電容量 C2,total=C+CC×C=2CC2=2C [F]
- コンデンサ全体に蓄えられるエネルギー W2=21C2,totalE2=21(2C)E2=41CE2 [J]
- 直列回路なので、各コンデンサにかかる電圧は電源電圧 E を静電容量の比で分担します。ここでは静電容量が等しいため、各コンデンサにかかる電圧は E/2 となります。
- 各コンデンサに蓄えられる電荷 Q2,each=C×(E/2)=21CE [C] (直列なので電荷は等しくなります)
それでは、各選択肢を検証します。
選択肢(1): 図1の回路の合成静電容量は、図2の回路の4倍である。
図1の合成静電容量は 2C、図2の合成静電容量は C/2 です。
2C/(C/2)=2C×(2/C)=4
したがって、図1の合成静電容量は図2の4倍であり、この選択肢は正しいです。
選択肢(2): コンデンサ全体に蓄えられる電界のエネルギーは、図1の回路の方が図2の回路よりも大きい。
W1=CE2、W2=41CE2 です。
W1>W2 であるため、図1の回路の方がエネルギーは大きく、この選択肢は正しいです。
選択肢(3): 図2の回路に、さらに静電容量C[F]のコンデンサを直列に二つ追加して、四つのコンデンサが直列になるようにすると、コンデンサ全体に蓄えられる電界のエネルギーが図1と等しくなる。
図2の回路に静電容量 C のコンデンサを二つ直列に追加すると、合計4つの C [F] のコンデンサが直列接続されます。
この新しい回路の合成静電容量 C3,total は、
C3,total1=C1+C1+C1+C1=C4
C3,total=4C [F]
この回路に蓄えられるエネルギー W3 は、
W3=21C3,totalE2=21(4C)E2=81CE2 [J]
図1の回路のエネルギー W1=CE2 と比較すると、W3=81W1 であり、等しくなりません。したがって、この選択肢は誤りです。
選択肢(4): 図2の回路の電源電圧を2倍にすると、コンデンサ全体に蓄えられる電界のエネルギーが図1の回路と等しくなる。
図2の回路の電源電圧を 2E にすると、蓄えられるエネルギー W2′ は、
W2′=21C2,total(2E)2=21(2C)(4E2)=CE2 [J]
これは図1の回路のエネルギー W1 と等しくなります。したがって、この選択肢は正しいです。
選択肢(5): 図1のコンデンサー一つ当たりに蓄えられる電荷は、図2のコンデンサー一つ当たりに蓄えられる電荷の2倍である。
図1では、各コンデンサにかかる電圧は E であり、蓄えられる電荷は Q1,each=CE です。
図2では、各コンデンサにかかる電圧は E/2 であり、蓄えられる電荷は Q2,each=C×(E/2)=21CE です。
Q1,each/Q2,each=(CE)/(21CE)=2
したがって、図1のコンデンサー一つ当たりに蓄えられる電荷は、図2のコンデンサー一つ当たりに蓄えられる電荷の2倍であり、この選択肢は正しいです。
以上の検討から、誤っている選択肢は(3)です。
参考リンク
図1と図2の回路構成、それぞれの合成静電容量、そしてコンデンサに蓄えられるエネルギーの関係を改めて確認してみましょう。
学習の記録にははてなブックマーク!
気づいたこと・覚えたことをコメントにメモしよう