第3種電気主任技術者試験 過去問解説
問70
20℃における抵抗値が R₁[Ω]、抵抗温度係数が α₁[℃⁻¹] の抵抗器 A と、20℃における抵抗値が R₂[Ω]、抵抗温度係数が α₂ = 0 [℃⁻¹] の抵抗器 B が直列に接続されています。20℃ と 21℃ における並列抵抗値をそれぞれ r₂₀[Ω]、r₂₁[Ω] とし、変化率 (r₂₁ - r₂₀) / r₂₀ を求めます。この変化率として正しいものは選択肢(2) R1+R2+α1R1α1R2 です。
抵抗温度係数と抵抗値の変化
抵抗器の抵抗値は、温度によって変化します。この温度による抵抗値の変化のしやすさを表すのが「抵抗温度係数」です。抵抗温度係数が α[℃⁻¹] の場合、基準温度 T₀[℃] における抵抗値 R₀[Ω] の抵抗器は、温度 T[℃] における抵抗値 R[Ω] が以下の式で表されます。
R=R0(1+α(T−T0))
この問題では、基準温度を 20℃ としています。
並列抵抗値の計算
2つの抵抗器 R₁ と R₂ が並列に接続されている場合、合成抵抗(並列抵抗値)R_p は以下の式で求められます。
Rp=R1+R2R1⋅R2
20℃における並列抵抗値 (r₂₀)
抵抗器 A の 20℃ における抵抗値を R₁、抵抗器 B の 20℃ における抵抗値を R₂ とします。
これらの抵抗器が並列に接続されている場合、20℃ における並列抵抗値 r₂₀ は、上記の並列抵抗値の公式より、
r20=R1+R2R1⋅R2
となります。
21℃における並列抵抗値 (r₂₁)
次に、21℃ における各抵抗器の抵抗値を求めます。
抵抗器 A: 20℃ における抵抗値 R₁、抵抗温度係数 α₁、基準温度 20℃、変化温度 21℃ です。
21℃ における抵抗器 A の抵抗値 R₁'(21) は、
R1′(21)=R1(1+α1(21−20))=R1(1+α1)
抵抗器 B: 20℃ における抵抗値 R₂、抵抗温度係数 α₂ = 0、基準温度 20℃、変化温度 21℃ です。
21℃ における抵抗器 B の抵抗値 R₂'(21) は、
R2′(21)=R2(1+α2(21−20))=R2(1+0⋅(21−20))=R2
この 21℃ における抵抗器 A (R₁'(21)) と抵抗器 B (R₂'(21)) が並列に接続されている場合の並列抵抗値 r₂₁ は、
r21=R1′(21)+R2′(21)R1′(21)⋅R2′(21)
r21=R1(1+α1)+R2R1(1+α1)⋅R2
となります。
変化率の計算
変化率 r20r21−r20 を計算します。
まず、r21−r20 を計算します。
r21−r20=R1(1+α1)+R2R1(1+α1)R2−R1+R2R1R2
r21−r20=R1+α1R1+R2R1R2(1+α1)−R1+R2R1R2
ここで、通分します。分母は (R1+α1R1+R2)(R1+R2) です。
分子は、R1R2(1+α1)(R1+R2)−R1R2(R1+α1R1+R2)
=R1R2[(1+α1)(R1+R2)−(R1+α1R1+R2)]
=R1R2[R1+R2+α1R1+α1R2−R1−α1R1−R2]
=R1R2[α1R2]
=α1R1R22
したがって、
r21−r20=(R1+α1R1+R2)(R1+R2)α1R1R22
変化率 r20r21−r20 は、
R1+R2R1R2(R1+α1R1+R2)(R1+R2)α1R1R22
=(R1+α1R1+R2)(R1+R2)α1R1R22⋅R1R2R1+R2
=R1+α1R1+R2α1R2
これを整理すると、
R1+R2+α1R1α1R2
となります。
この結果は選択肢(2)と一致します。
選択肢の検討
- 選択肢(1): R1+R2+α12R1α1R1R2 - 分子に R₁ が余分にあり、分母の α₁R₁ の係数が α₁²R₁ となっています。
- 選択肢(2): R1+R2+α1R1α1R2 - 正解です。
- 選択肢(3): R1+R2+α1R1α1R1 - 分子に R₂ がありません。
- 選択肢(4): R1+R2+α1R2α1R2 - 分母の α₁ の係数が R₁ ではなく R₂ となっています。
- 選択肢(5): R1+R2+α1R2α1R1 - 分子に R₂ がなく、分母の α₁ の係数が R₁ ではなく R₂ となっています。
抵抗器 B の抵抗温度係数が 0 であるため、温度変化による影響は抵抗器 A のみに限られることが、選択肢の形に影響を与えています。
抵抗器 A と抵抗器 B が直列に接続され、20℃ から 21℃ へと温度が変化する様子を、抵抗値の式と並列抵抗の計算式を照らし合わせながら確認してみましょう。
参考リンク